第36話 里帰り

娘の出産が近づいている。

私には気になる事がある。

赤ちゃんの名前だ。

女の子はわかっている。

はなちゃん

これだけはやめて欲しい。

ダンナの口から「はなちゃん」だけは聞きたくない。

そして孫の誕生。

名前は違っていた。

良かった。


里帰り出産だ。

毎日、孫を見て出勤、慌てて帰って孫を抱く。

久しぶりに忙しい毎日だが幸せだ。


ある日、ダンナの事務所に行く。

カギが閉まっていた。

慌てて出てくるダンナ。

カギを閉めてする事ってなんだ?

どうせ聞いても嘘をつくだろう。

逆に聞かない。


私はついに決断をした。


携帯電話の通話記録を入手する事だ。

幸い、契約者は私だ。

手続きは簡単。

できるだけ遡って取り寄せた。


はなちゃんへ

この日もあなた達は楽しく電話をしていたんだろうね。

私の幸せを奪うなら

そちらへ踏み込むまでだ。



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