第06話 情報提供
今川巡査を連れてのダンジョンアタックは最初こそ戸惑いを見せたがレベルが上がって行くうちにコツを掴んだのだろう、ぎこちない動きもレベルの上昇と共にキレが良くなって行く。
アイテムの確認ができるようになったのはLV3からだ。
スキルの獲得は2からだったので、レベルの上昇に伴い、少しずつシステムが開示されて行くタイプだと判明した。
アイテムの入手と解明が別なのは、そういうこと。
レベル1 ステータス獲得
レベル2 スキル獲得・スキル情報共有
レベル3 アイテム取得・モンスター情報共有
レベル4 属性付与系情報開示・武器の性質解明
レベル5 スキルグレードアップ情報開示
レベル6 武器グレードアップ情報開示
レベル7 モンスター鑑定開示・ダンジョン内視界良好
レベル8 派生スキル情報開示・採取アイテム開示
レベル9 称号情報開示・空腹メーター表示
レベル10 チュートリアル終了・ダメージカット機能消滅
レベル10までは、戦闘で攻撃を受けても即死することはない。
私達はダメージを受けないように立ち回っていたが、今川巡査は慣れるまで結構被弾していた。
ゲームではあえてダメージを引き受けるタンク役をしていたと言う。
防具もないのにゲームと同じ感覚は流石に舐めてかかりすぎだと思うけど、それでもなんとかなってしまうのはチュートリアルの間だけだ。
倒せば経験値を獲得し、レベルは上がる。
それこそ10まであっという間、
ここで慎重さを学ばないと痛い目に遭う事間違いなしだが、どう成長させるのかはその人の自由だ。
ダンジョンの奥には少し大きめなグリーンポット。
道中にはブルージェルしなかったのもあり、やはり難易度がやたら落ちていたと感じる。今川巡査は巧みに警棒を操り、一方的にグリーンポッドを撃退した。
レベルが7もあれば余裕そうだ。
道中で検証も兼ねて無駄にレベリングしすぎたかもしれないね。
私達は武器を持ち込んでの威力調査だったけど、正直武器の属性が変わるだけで獲得できるスキルが変わるぐらいでしかなかった。
逆に言えば一度スキルさえ取得してしまえば武器を問わずその属性が乗るので覚えておいて損はない。
私はあまり多様しないけど、若者は効率を求めたがるから。
情報提供後は自由判断に任せることにしよう。
「今日はお疲れ様でした」
「お疲れ様です、お二人のご支持と情報の提供があったからでしょう、俺でもなんとかなったように思います」
「そんな事ないよ。やっぱり若い子は飲み込みが早いね、一を教えて十を学ぶんだから。あとは警察に任せて私達は高みの見物でもいいんじゃないですか?」
欽治さんに促せば、まだ満足し切らないのか不満そうに鼻を鳴らす。
「まだ検証したりませんが、あまり僕たちが口うるさく言っても仕方ないですか。まぁいいでしょう、今日のところはここら辺で」
「そうですね、難易度の判定がまだ未知数です。私達二人の時は☆14でしたから。あの時は大変でした」
「じゅっ、難易度ってそんなに変わるですか!? よくボスを倒せましたね」
「レベル10未満だったからね。チュートリアル機能に助けられたのさ。おかげで二人とも無事だよ。今後もそうなるとは限らないけどね?」
「そうでしたか……では難易度次第では突入を考える必要があると?」
「人数にもよるけど、出てくるモンスターのレパートリーはだいぶ変わる。その分ドロップアイテムにも旨みが出るから悪いことばかりじゃないよ。黄色いスライムなんてスキルのグレード上げられるから。あれで私のスキルを強化したんだ」
「それで一撃で?」
今川巡査は同じように攻撃しても一撃で屠ることはできなかった。
コアクラッシュの獲得に至れなかったのは大きいね。
あれ持ってるだけでここのダンジョンの攻略難度は結構変わるからね。
「うん、それと光苔で武器も強化できたのが大きいよ。今川巡査はまだ採取アイテムは見れないんだっけ?」
大きめのグリーンポッドでのレベルアップを果たせなかったのもあり、肩を落として落ち込んでいる。
見えるようになれば攻略も一気に風向きが変わるからね。
「そう落ち込まないで、次の機会に頑張ればいいさ。それよりも情報の精査が先だよ。先輩たちにも教えてあげて」
「僕たちの知ってることは全て教えたので、あとは自由にしたまえ。新しく知った情報の類は適当に掲示板にでも投げておくさ。もう有志がいくつか立ててる頃だろう?」
「出来るだけこちらに回して欲しいのですが……」
「人の口に戸を立てるのは無理だよ? 私だって家族に教えを乞われたらすぐバラすからね。だから秘匿するのはお勧めしないね」
「ぐっ、警察の名誉回復には使えませんか」
「そう言う小賢しさを市民に見せるのは良くないよ? まぁ、情報なんて遅かれ早かれ乱立するんだから言ったもん勝ちで開示してこうよ」
「はい……一生懸命務めさせていただきます。本日はご協力ありがとうございました!」
「じゃあね、またどこかで」
私達はパターゴルフ場を後にして帰宅した。
手洗い、うがいは念入りに。
しかもダンジョンからの帰りだ。パターゴルフとは比べ物にならないくらい汗をかいている。先にシャワーだけでも浴びてしまおうか。
浴びて、洗濯物も回してしまう。家族のとは別に、私専用のものを買い付けてあるのだ。うちには年頃の女の子がいるからね、同じ洗濯機で回すのは私の方から遠慮させてもらったよ。
「いやあ、スッキリした」
「おかえりなさい、先にシャワー浴びてきたのね。またパターゴルフ?」
「誘われた手前、断りきれなくてね」
クラブを振るう真似をする。
誘われる前まではクラブを振ったこともなかったのに、随分とこなれてきたものだ。
「確かそのゴルフ場の近くにダンジョンがあるんでしょう?」
「よく知ってるね。昼には警察が封鎖してコースのいくつかが使用禁止になってたよ。おかげで今日は負け越してしまった。あそこのコースさえ使えれば、今日は勝てたんだけどね」
「あら、お父さんの得意なコースが使えなかったの? それは残念ね」
台所で食洗機をかけていた娘が、私の話題に相槌を打つ。
出されたお茶を受け取り、喉に流し込む。
随分と熱いが、問題なく極々飲めてしまった。
いつもなら冷ますのに、今日は一気飲みしてしまう。
「お父さん、もう飲み干しちゃったの? 熱くなかった?」
「熱かったけど、ちょびちょび飲んでたらいつのまにか」
「ヤケドはしてない?」
「本当? もう歳なんだからゲームの時と同じように無理しちゃダメよ?」
「心得てるよ。でも不思議と体が軽いんだ」
「ダンジョンの影響かしら? あら、早速情報が出てる。警察はもう動いたのね。流石だわ」
娘がネットの情報を流し見しながら家事をしている。
私も今日の情報がどのように反映されているか早速覗いてみた。
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