(二)-9

 そう言われたので、電話番号を口頭で伝えた。女性はそれをすぐにスマートフォンに入力した。

「念のため、名前も教えてくれるかい」

「王寺カズナガ」

「王寺、カズナガ君、と。王子様みたいな名前だな」

 サナさんはそう呟きながら素早く連絡先を登録した。そして「今日はありがとう」と再び言うと、運転席に乗り込みすぐに車を発進させて走り去ってしまった。

 最後は彼女が体調不良になってしまったが、俺にとっては夢のような一日だった。こんなにウキウキしたのは初めてであった。


(続く)

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