そのドアの向こう側
【い-14】文学フリマ京都_筑紫榛名
(一)
一目惚れだった。まだ一六歳だから、一目惚れなんて経験も初めだったけど、一回見ただけで好きになってしまった。そんなことがあるなんて、自分でも信じられなかった。
それは部活で使うランニングシューズを買いに、地元のアウトレットへ買い物に行ったときだった。買い物を済ませて帰ろうとして階段を降りていくと、女の子がぶつかってきた。
女の子は手にクレープを持っていたが、それカズナガのシャツに付いてしまった。女の子と一緒にいた女性が、替えの服を買ってくると言い、行ってしまった。
(続く)
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