いつも通りマイペースに ―トキワハゼ―


 ズボンのすそくつを雨にらしながら、今日も変わらずに会社への道を歩く。こんな日はうつむきがちに歩くから、足元の景色がいつもよりも鮮明に見える。


 ふと、道脇みちわきのちょっと変わった形の小さな紫の花が目に入る。名前は確かトキワハゼだったかな。


 たった数歩の小さくて短い間の出会いだった。でもそれだけで――いや、いつもよりほんのり憂鬱ゆうつな気分が、ちょっぴり上向きに変わった気がする。


 今日もマイペースに過ごそう。

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