ところで、どうして棺桶を担いでいるのですか?
「太陽の下で仕事をするのは久しぶりですね。」レオンが呑気に伸びをする。
「私も地上での仕事は大昔にやった程度だからね。」私も頷く。
「私も久しぶりだ。何年振りか。」マグネスも大きく頷く。
「それはそれとしてイリーナとやら?どうしてあの依頼が怪しいと言えるのだ?」マグネスが不思議そうに尋ねる。
「ああ、それね。昔やられたのよ。あの時はまだここに来て日が浅くて泣き寝入りしたけど、今度は上手くやるよ。」私はそう言いながら昔嘘依頼に釣られて酷い目に遭ったことを思い出し怒りが込み上げてくる。
「ほう。イリーナは怪しい依頼に釣られたのか。」マグネスは大真面目に相槌を打つ。
「復唱どうもありがとう…」私はムッとする。
「マグネスは今まで何をしていたの?」私は尋ねる。
「私か?えっと…その、墓守だ。」マグネスは目を逸らしながら尋ねる。
「墓守ね。墓守か。だから棺桶を持ってるの?」私はマグネスが担いでいる棺桶を見ながら言う。
「そうだ。」マグネスは頷く。
「なるほどね。」私は納得する。
「いやいやいや!」レオンが割って入る。
「なんだ?」マグネスは顔を引き攣らせる。
「墓守は棺桶を担がないでしょ?」レオンは的確なツッコミをする。
「え?」マグネスは困惑する。
「そう言われればそうね。墓守は墓を守るんだから棺桶を担いでるのはおかしいわよね?」私も同意する。
「そうですよ。おかしいですよ。」レオンは詰め寄る。
「…」マグネスは沈黙する。そしてしばらく考えた後彼は口を開いた。
「ワタシノ クニノ ハカモリハ カンオケヲ ハコビマス。」急にカタコトになる。
「そういう文化ならしょうがないね。」
「そうですね!」
私たちは納得した。
・・・・・・・・・・・
「指定されてたのはここね。ここで薬草を採集しましょう。」私は二人に指示する。
「ああ。人の気配はないな。」マグネスはあたりを見回す。
「薬草は二束三文ですけど、役に立つので損はないですからね。」レオンもそう言って地面に目を向ける。」
「薬草?どれを採ればいいんだ?」マグネスは不安そうに尋ねる。
「ああ、そうね。レオン、教えてあげられる?」レオンに尋ねると彼は自信満々に頷いたので彼に任せることにした。
彼も薬草にはそこそこ詳しいはずなので心配ないだろう。
「これか?」
「それは毒草です。」
「食ってもなんともないが?」
「何食ってるんですか!早く吐き出して!」
「なんか吐き気が…」
「うわぁ!汚い!」
「これか?」
「それも毒草って、食って確かめないでください!」
「オロロロ…」
「ちょと!汚オロロロ…」
心配…ないかな?
私もしゃがみ込んで依頼のあった薬草を集め始める。
「今日はなんか多いな。」私は呟く。今日は一段と生えている薬草が多い。
レオンたちも捗っているようだ。私も真剣に薬草を集める。そうしている間に私たちはずいぶん距離が離れてしまった。
これが後の悲劇につながるとは誰も想像しなかっただろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます