第十九話

 白の家で俺は今、白の爺さんと向かい合う形で座っている


 二人きりで話したいことがあるとのことで、一緒に来た白は別室にいる


「話は全部孫から聞いた、今回の件だけでなくいじめからも助けてくれたと」


「ええ、まあ」


「本当に巻君、君には感謝しかない……何度も孫を助けてくれたこと、改めて礼を言う」


「俺がやりたくてやったことですから、気にしないでください」


「そういうわけにはいかない……お礼にこれを、」


 白の爺さんから包装紙に包まれたカードのようなものを手渡された


 俺が断っても「お礼の気持ちとして……どうか受け取って欲しい」


 と、頭を下げられたので受け取ることにした



「孫はいつも、君の話をしていてね」


「俺の話……ですか」


「今日はデートをしたとかお弁当を美味しそうに食べてくれたとか、それはもう、楽しそうに話していてね……」


「そうなんですね」


「君なら信頼できる、実は……まだ孫にも話せていない話があってね」


「何ですか?」


「私の余命はあと……半年だ」


「え……??」


「色々手は尽くしてもらったが……どうやら治療法が見つかっていない未知の病気で、分かっているのは残りの余命だけだそうだ」


「……」


 白の爺さんがあと半年で死ぬ病気に罹っている


 この話を白が聞いたらきっと……



「そこで君に頼みがある」


「……はい」


「私の孫の婚約者になってはくれないだろか……頼む……!!」


「……」


「あの子が苦しんでいることも知らずに、私は何もしてやれなかった……」


「そんなことはありません、白はあなたに沢山のことをしてもらったと感謝していましたよ」


「君がしてくれたことに比べれば、私のしてきたことなど大したことではない……どうか、君があの子を幸せにしてやってはくれないだろうか……」


「……すみませんが、それは無理です」


「……そうだよな、まだ学生のうちから婚約者になれだなんて……すまない、焦りすぎていた」


「俺は白を一方的に幸せにはしません、白と二人で一緒に幸せになります」


「……なら、」


「お孫さんを俺にください……!!」


「本当にありがとう、巻君……孫のことを頼んだぞ」


 その後は昔の白の話など気になる話をいっぱい聞かせてもらった


 ちなみに余命の件は「出来ればまだ伝えてほしくはないが、伝えるかどうかは君が決めてくれ」といわれた


 自分より俺のほうが白を理解しているだろうから、全面的に任せたいとのことだった





 ◆◆


 話が終わったので、再び俺は白と二人で通りを歩き始めた


「先輩何の話をしていたんですか?」


「白の昔の話を聞いたよ」


「それだけですか?」


「……まあ、それぐらいだな」


 白は流石に二人きりであれだけ話てそれだけではないだろう……と疑惑の目を向けてきた


 なので、白と幸せになると誓ってきたと言ったら「だんな、さま……!!」と言われて道端で抱き着かれた



「先輩、今日の夜は何食べたいですか?」


「そうだな……ハンバーグがいい」


「かしこまりました!」


「じゃあ、スーパーに寄って帰るか」


「はいっ、質の良い食材をお安く仕入れて、美味しいお料理を作ってみせます……!!」

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