第6話 聖女としての初仕事……?

この世界に来てから数ヶ月、王宮での生活にもだいぶ慣れてきた頃、レオーネさん……いや新しいお父さんに部屋に来るよう呼び出された。


「えっと…アリア……です」


「あぁ。入りなさい」


「……失礼します」


ガチャリと重たい音を響かせ私はドアを開けた。何かしただろうか。もしかして出て行けと言われるのだろうか。そんな事を考えながら私は彼の言葉を待っていた。


「さて……アリア。」


「はい……」


「そろそろ国民の皆にアリアを紹介しようと思ってね。」


「国民の人達に……?私を……ですか?」


「あぁ。嫌なら姿は見せなくていいよ。名前だけでもいい。」


「……これも聖女としてのお仕事ですか?」


「……あぁ。出来れば姿を見せてやって欲しい。」


彼の言葉に私は目線を下に向けた。もし受け入れられなかったらと思うと怖くて足がすくむ。でも……それでもこの人は私を信用してくれている。ならこの信用に応えなきゃいけない。私はもう結城 楼莉じゃなくて【聖女 アリア】なんだから。


「……わかりました。国民の皆さんの前に立ちます。」



「そうか……!ありがとうアリア。嬉しいよ」



「……でも一つだけわがままを言ってもいいですか?」



「あぁなんだい?」



「……1人では立ちたくないです。」



「分かった。フォイユも一緒に立つように言っておくよ」



「ありがとう……ございます」


私はにこりと笑みを浮かべながら告げた。これが初めてのお仕事。まだ何が出来るか分からないけど【ちゃんと】やらなきゃ。

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