第2話 終わりの始まり
「いってきます」 誰もいない部屋に私はそう呟き家を出た。この家に私の家族は居ない。お父さんもお母さんも私を捨てて出て行った。「……会いたいな」と呟いた声は誰にも届かず空へ消えて私は通っている高校に着いてしまった。
「お……おはよう」 そう声をかけても誰も返事をしてくれない。それどころかクスクスと笑う声が聞こえてきた。その笑い声に耐えながら私は席に着く。机のラクガキにももう慣れ始めた頃だった。ふと落書きを見てみると【消えろ】と書かれていた。私は立ち上がり教室を出た。
屋上へ入ればそこは1人だけの場所だった。「ここから飛び降りたら楽になれるかなぁ……」そんな事を考えていればバタバタと慌ただしい足音が近づいてきた。ドアの方を見れば数人のセンセイが息を切らしながら立っていた。
「結城さん!何をしてるんですか!」
「早く教室に戻りなさい!」 あの教室に?戻る?居場所なんてないのに?
「……いやです。戻りません。」
「何を言っているんだ!いいからこっちに……」
「来ないで!……ねぇ先生。私何度も言いましたよね。助けてって。苦しいって。」
「そ……れは……」
「だからね先生。こんな世界から消えちゃおうかなって。思ったんです」にこりと笑みを浮かべながら言えば先生達は慌てた表情を浮かべながら止めようとした。私はその制止の声を無視してフェンスを乗り越えた。
「じゃあね先生。先生達のこと大っ嫌いだったよ」 そう告げて私はゆっくりと下へと落ちた。
「次は幸せになれますように……」そう呟いて私はそっと目を閉じた
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