第61話 次のネタ探し


 私たちは、無事コラボ動画を終え、動画を見返している。

 このコラボ月間私たちにとっては、とても充実した1ヶ月だったと思う。

 とりあえず、次のコラボまではまだ少し時間がある。

 何か変わったことがしたいのだが……


「うーん……他何かあるでしょうか?」

「めっちゃ悩んでるやん」


 みさきさんが後ろから歩いてくる。


「他に何をすればいいのか、まったく思いつきません……」

「ん~じゃあ1回動画投稿とライブ配信はやめて、旅行に行かん?」

「旅行ですか?」


 旅行とは何なのだろうか……

 

「そう! いろんな場所に行って旅館に泊まるんや! 君たち日本に来て、まだ1年経ってないんやし、日本の歴史に触れてもええんやない?」


 日本の歴史……確かに知っておくのもいいかもしれない!

 私達も興味あるのだ。


「できれば、この世界の兵器とかも見てみたいですね」

「うーん……そうなると博物館とかかな? とはいえ、兵器の博物館……あったか分からんけど」


 まぁ、あるかどうかは恐らく調べたらわかることだと思うので、そこは気にしていない。

 

「わかりました。そういう博物館? というのは私がまた調べておきます」

「はーい! 私はどこ行くか、とりあえず探しとくわ!」


 そう言うとみさきさんは、部屋に戻っていった。

 しばらくの休暇である。

 まぁ、正直な話、この世界に来てからというもの、休暇という休暇は取ってなかったと思う。

 まぁ、ライブ配信と動画投稿以外にやることが無かったというのが正しいのだが……

 とりあえず、明日にはみさきさんから話があると思うので、それまで待つことにする。


 次の日……

 リビングには、5人全員が机を囲むように座っている。

 

「みんなおはようやで! 昨日フィナリアと話し合って決めたんやけど、これから君たちはしばらくの休暇を取ってもらうで! もちろん、合同体育祭の打ち合わせは参加してな! 一応オンラインで出来るようにしてもらったから!」


 いきなりの休暇宣言にディア王女は首をかしげる。

 まぁ、それもそうだろう……


「急にどうしたの? みさきらしくないわよ! 配信やめるなんて」

「ディア王女様、やめるのではありません。私達はまだこの日本という国を知りません。なので、勉強のために、いろいろなところへ旅行したらいいのではないか? と」


 とりあえず誤解されそうだったので補足を付け加えた。

 日本の文化を知ることで、何か勉強になることがあるかもと考えたのだ。


「わざわざ日本の文化を学ぶ必要はあるの? この世界でずっと住むならばわかるけど、帰れるのは確定しているんでしょ? マナーとルールだけ守ってたらいいんじゃない?」


 スメラ嬢は首をかしげている。

 確かに、私たちは日本人ではない。

 無理に日本の文化を学ぶ必要もないのだ。


「えー!! 私めっちゃ興味あるんだけど!? だってこの世界って私たちと違ってすごい技術ばっかり!」


 アミフォリアの言うとおり。

 今回、私はもう1つの可能性について考えていた。

 それは……


「はい、アミフォリアさんの言うとおりです。今回の目的は日本の技術を学び、元の世界に再現させることです」

「つまり、この世界のことを知れば武器とかも持ち込めると?」


 スメラ嬢が首をかしげている。

 正直できないとは思っていない。


「はい、私たちの世界とこの世界では武器の強さが圧倒的にこちらの世界が有利です。しかし、武器を作る速度は錬金術がある私たちの世界が有利なのです。つまり、この世界で錬金術を極めているものが学べばどうなると思いますか?」

「最高品質の武器が再現できるということね!!」


 ディア王女の言うとおりである。

 錬金術とは、極めれば極めるほど、強い武器が作れるのだ。


「はい、そういうことです。まぁ、無理かもしれませんが……あ」

「この世界の武器を私たちの世界でも使えるって最高! 魔王の私が使うにはもってこい!」


 アミフォリアに関しては、武器がない方が強いと思うが……


「ん? フィナリアどうしたんや?」

「そういえば、創造神セレフィスト様は、何かの準備ができたら戻せるって言ったのですよね? アミフォリア」

「うん! そうだよー!!」


 なんで気づかなかったのだろう……

 とすればおそらく考えていることは……


「多分ですが、私と同じ考えをセレフィスト様もしているかもしれません。創造神様が関わるならば錬金術より創造するが速いはずですから」

「確かにそうだわ!」


 ディア王女が手をたたく。

 しかし、まだ疑問は残る。 

 どうしてこんなに時間がかかっているのか?

 そして、なぜわざわざ私たちをこの世界に送ったのか……

 

「うーん、目的はなんとなくわかりましたが、まだ肝心な部分がわかりませんね」

「とりあえず、今は私たちの世界を救うために、日本の文化を学ぶ。ということでいいかしら?」


 スメラ嬢が首を曲げて話す。

 まぁ、ざっくり言えばそういうこと。


「そうと決まれば! 一応場所は決まったで! まず場所は、お城博物館やで! いろんなお城の勉強ができる博物館があるらしいんや。 えっとちょっと遠いけどな! 2日後出発するで! 一応明日頑張ってツアーのようにするから!」

「早いですね」


 みさきさんはどうだ! と言わんばかりに親指を立てる。

 行先と日程は決まったということで、私たちはこれから旅行のために準備をするのであった。

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