第15話 アスレチックに行きました ①
今日も、動画のコメント欄は大反響である。
理由は、3日前の夜亜きらり×猫鎌ヒカリコラボ生配信の影響が大きいだろう。
あの2人に取り上げられたということは、この【KOTORIM】内で有名になるということ。
チャット
:たのしみー!!
:切り抜きから来ました!
:今回はアスレチックか?
:楽しみ半分怖さ半分……
:ディア王女とスメラ嬢の暴走が見たい!!
【スメラ国】:まもなく始まります
私がそう打ち込んだ途端に、コメントが一気に流れるようになった。
正式にアカウントを認証できたということで、名前の枠に【】がつくようになった。
『スメラ国ーファイ!』
『『『オー―――!!』』』
:オーー―ーー!
:あーーー!
:おーーー!
:キエエエエ!!
:↑発狂ニキ再び
:オオオ―――!!
『スメラ国、王女使用人フィナリアと』
『王女ディアよ!』
『令嬢スメラです』
『今回の企画を発表いたします。今回の企画は、【アスレチックに行ってみよう!】です』
私の説明に、2人はきょとんとした顔になる。
まぁ、この世界の言葉はまだ勉強中なので、聞くだけだと分からないと思う。
『フィナリア! それって何ですの!? 私にも分かるように教えなさい!』
『はい、いわゆる運動をしに行くってことです』
『本当に簡単にまとめたわね、私は嫌よ、魔法使いに運動は必要ないわ』
『運動なんて嫌よ! 私は王女なのよ!?』
まぁ、2人は極度の運動嫌いなのだ。
この反応は想定済みである。
しかし、私は心を鬼にする。
なぜなら……私が行きたいからである。
『王女だからこそ!運動というのは大事なのですよ!』
『フィッフィナリア!?』
『急に人格変わってびっくりしたわ』
思った以上に大声になってしまった。
これは、押せばいけそうである。
『いつまでも【フィナリア! 買いに行きなさい! フィナリア! おぶりなさい!】だとダメです! あの時みたいに襲われたら、崖から飛び降りるしか逃げ道無くなります!』
『おぶりなさいは1回も言ったことないわよ!!!』
:今回はアスレチックかぁ!!
:フィナリアやはりそっち側かお前www
:フィナリアの得意分野だなあwww
:アスレチックという存在を見つけた瞬間叫んでそう
:世界の中心でアスレを叫ぶ?
:↑お前は女でも叫んどけ
:美香ああああああ!!
:↑誰やねん!!!!
:草
:ところで崖から飛び降りたって? 魔法使い? ん? そういう設定?
:ほんまに異世界人説あるぞこれwww
:日本に居れば日本人だろおお!?
:間違いない
『それでは向かいますよ! スメラ嬢、転移魔法お願いします』
『本気で言ってる?』
スメラ嬢が困惑した顔をする。
まぁ、この世界ででゃ魔法が使えないのだ。
その顔になるのも当然である。
『私は魔法使えないわ!』
『私も転移魔法は使えませんし……この世界でも調べたらできるみたいですよ?』
そう、調べたら、転移魔法は使えない。
ただしそれっぽいことは組み合わせで使うことができることを私は知っているのだ。
『ほんと!? やって見なさいスメラ!』
『はぁ……一応持ってきたけど……杖』
スメラ嬢が持っていた杖を持ってくる。
びっくりした。
まさかこの世界に杖を持って来ているとは思わなかったのだ
『いつの間に持ってきてたのですか!?』
『ちょっとフィナリア!? 知らなかったの!? ずっと部屋に置いてたわよ!』
そうだったのか……
ずっと一緒の部屋にいるディア王女だからこそ知っていることなのだろう。
『当たり前です。私だって万能じゃありませんから。そういえば王女様は一緒の部屋に居ましたね』
:杖!!
:異世界武器キタ―――!!
:え? 作ったやつじゃないの?
:こんな精巧に作れ……るか今の技術なら
:精巧も何も元の杖はどこだよ
:確かに?オリジナル?
:こりゃもうわっかんねえな
:異世界武器でオッケー?
:いいともーー!!
:おk--
『はぁ……では行きます。我らを示せ【ワープ】』
:すげえええ!!
:本当に杖振ったら光が出たぞ!
:そういう演出じゃない? さすがに魔法は使えないでしょ
:フィナリアの編集技術がますます増えていった
スメラ国:フィナリアです。すみません、ここは実際に光っていません
:↑了解!
:分かってるよー!
:はーい!
『ディア王女、スメラ嬢。着きましたね、ここが今回のアスレチックの場所【森の学園】です』
『何でこんな山の中なのよ!?』
『あの時を思い出すわね……』
3人が再び現れたのは、どこかの森の中だった。
奥には看板が立てかけてある。
ちなみに組み合わせとは、最近知ったエフェクトとカットの組み合わせである。
『今回は一応貸し切り? らしいので自由に使っていいとのことです』
『なるほど! じゃあ寝てもいいのね!』
『バカ王女どこで寝るのよ』
『なんですって!? スメラ!!』
まぁ、こんなところで寝たら確実にダメだろう。
スメラ嬢の言うとおりである。
『一応行き方はこの紙に書いているようです。10ステージあるようですので、気合を入れて進みましょう』
『じゃあ分かるわね! 行きましょう!』
:王女様、わりとノリノリなのでは?
:この後ばてる未来が見える
:分かる。ガス欠しそう
:ここのアスレチック難しいもんねぇ
『まずは1番目ですね、どうやらこの棒の上を進んでいくらしいです』
『避けて行けば良いんじゃない!』
『この脳筋王女』
『なんですって!?』
どうして避ける判断になってしまうのだろうか……
『スメラ嬢の言う通りですね、避けてしまうとこのアスレチックじゃなくなりますからね。ちゃんと上からお願いします』
私は、先にアスレチックを進んでいく。
昔も良く木の上を飛び回っていたのでものすごく楽しい。
『ちょっとフィナリアが先行くんじゃないわよ!!』
『ディアが遅いからでしょ』
ディア王女とスメラ嬢はまだ奥で叫んでいる。
『私はここで待ってますから! 大丈夫です! しっかり足元を見てください!』
私は声を大きくして2人に叫ぶ。
『んんん!! えええい!! やった! 足乗りましたわよ!!! ぎゃあああ!! コケる倒れる!! 片足しか乗れないわよ!!』
『ディア王女様! そのまま前に見える棒まで飛んでください!』
私の声にディア王女が前を見る。
『こう!』
『バカ王女! 違うわよ! 何で今乗せてる足で飛んでその足で着地しようとしているのよ!! 絶対届かないでしょう! 普通逆足着地よ!!』
ディア王女がそのまま飛ぼうとするので、スメラ嬢が後ろから叫ぶ。
『うるさいわね! はっ! ここかああ!!』
『王女様そうです!』
『ふんぬううううう!!』
もう威厳も何もなくなってますが……
『耐えなさいよ! 王女の威厳じゃない!』
ディア王女は叫びながら次々と進んでいく。
『ぎゃああ! 怖い怖い! でも、王女である私をなめるなぁぁ!!』
ディア王女は叫びながらも無事、ゴールまでたどり着く。
そして、その後のスメラ嬢は普通にクリアするのだった。
:いったああああ!!!
:ナイス王女おおおお!!!
:すげえええ!!!
:火事場のバカ女!!(褒めてます)
:↑絶対褒めてねぇwww
:王女の欠片も無くて草
:てかスメラ嬢もうまくね?
:スメラ嬢も普通に渡れてるやん!
:こりゃ見ごたえあるな!
『それでは無事着いたので、次行きましょう!』
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