第50話 深層へ12


 俺とひかるんは、さっそく深層クリアのために、ダンジョンへやってきた。

 今回も一応配信をすることにした。

 ひかるんの耳のことはさすがに明かせないけど、やはり深層探索ということでかなりの視聴者数が見込めるからな。

 タイトルに「深層クリアめざす」と書いたところ、一気に同時接続者数が増えた。

 まだダンジョン配信開始して1時間ほどなのに、すでに10万人もの人間が配信を見ている。


『すげえ二人だけで深層いくのか?』

『さすがに無謀だろ……』

『辞めといたほうが……』

『なんで深層?』

『深層が見れるときいて』

『この二人ならいける』

『今日の二人はいつもと顔つきが違うぞ。本気だ』

『気をつけろよ』

『応援スパチャ 50000円』

 

 俺たちは下層までやってきていた。


「いよいよ下層だな……ここを抜ければ深層だけど、準備はできてるか?」

「大丈夫です! はやくいきましょう!」


 俺たちは順調にダンジョンをクリアしていった。

 そしていよいよ下層のボス。

 グレートオーガが俺たちの目の前に立ちはだかった。


「いけるか……?」

「もちろんです」


 今回、ひかるんの後ろ姿に、震えはなかった。

 俺にテイムされたことで、ひかるんはさらに強くなった。

 もう以前までの彼女とは、肉体でも精神でもちがっていた。


「オガアアアア……!!!!」


 グレートオーガが襲い掛かる。

 しかし、その直後――。


「てやあああ!」


 ――ズバアアアアアア!!!!

 ――ズシャアア!!!!

 ――グシャ。


 ひかるんの剣によって、グレートオーガは一刀両断。

 一瞬にしてグレートオーガをやっつけった。


『うおおおおおおおすげええええええ』

『あのグレートオーガを瞬殺かよ……!』

『ひかるん強くなったなぁ……』

『いつのまにこんなに強くなったんだ』

『やべえええええええええ』

『これはまじで深層いけるかも』


「やったなひかるん、完全にトラウマを克服したな」

「これもハヤテくんのおかげです」


 俺たちはハイタッチ。

 そして、いよいよ次の部屋へ踏み込んだ。

 次の部屋は、下層のラストボスだった。

 下層最後の門番、リーパーだ。


「グオオオオオオオオ!!!!」


 リーパーは鎌をもった大型のモンスターで、その鎌につかまったら一瞬で殺されてしまう、馬鹿火力の強敵だった。


「ひかるん、どうする……!」

「そんなの決まってます……! 真正面から突破するだけです……!」

「って……おい……!」


 リーパーはそんな脳筋が通用するような相手じゃない。

 リーパーは知能も高く、すばやさも高い。

 真正面から突っ込んでいっても、鎌に狩られるだけ……。

 そのはずなのだが……。


 ひかるんは、真正面からなんの策もなしにリーパーに突っ込んでいった。

 そして、


 ――ズガガガガ!!!!

 ――ズシャアアアア!!!!


 なんとリーパーを鎌ごと一刀両断。

 下層で一番の強敵を、まるでスライムのように屠っていく。

 

「はは……すげえや……」

「すごいです、ハヤテさんのテイムの力。私、どこまででも戦える気がします……!」


 今のひかるんはめちゃくちゃ頼もしかった。


『うおおおおおおすげえええええ!』

『マジでリーパー瞬殺かよ……!』

『やべええええええ!』

『リーパーとかS級のプロが複数いてやっとなのに……!』

『おじさん出番ないな』

『ひかるん覚醒してる……!』


 そして俺たちは、いよいよ深層へと足を踏み入れた――。

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