8/16 娘サメを買う

「サメさんのぬいぐるみにあいにいくよ」とて娘言ひたり目を輝かせつつ

無造作に積まれし一匹引き寄せて短き腕でぎゅっといだきぬ

「サメさんがだいすきだよ」と囁きて柔らかき布地幾度も撫でり





―――

娘、なぜかサメグッズ大好きでして。

サメの服以外は着てくれないし、サメ図鑑ばっかり見るし。

試しに流してみたサメのDVDはエンドレスで観たがるし。

とにかくサメをこよなく愛する幼児なんです。


なのに。うかつにも夫との雑談中に、IKEAにサメのぬいぐるみがあるという話をしてしまいました。娘の前で。

そしたら娘、それちゃんと聞いていました。

「サメさんのぬいぐるみにあいにいくよ」と言って、私はIK○Aに行きます絶対に譲りませんという顔をしたんです。


ええ、うかつでした。

本当に、うかつでした。


娘にはとてもゆっくり話し、夫とは普通の早さで話していました。これまでは夫と自分の話を娘は聞き取れてなかったんです。それがまさか、もう聞き取れるようになっていたなんて。


たまたまその日は金曜日で、翌日は夫も自分もお休みだったので「じゃあ、明日行こうね」と言いまして、娘も納得してくれてその日は事なきを得ました。

で、これまでの娘は、寝たら忘れてしまっていたので、今回も忘れるかもなって思っていたんですよね。


翌朝、起きた娘は開口一番「サメさんのぬいぐるみにあいにいくよ」と言いました。


ええ、うかつでした。

本当に、うかつでした。


「三歳女児は大人と一緒」

そう聞いていていつかそうなる日は来るだろうとは思っていたんです。

が、その日は突然やってきました。今日がその日になるとは思っていませんでした。

ちなみに娘、この時まだ二歳半でした。

ええ、三歳になってないじゃない!と見知らぬ提言者に苦言を申したい気持ちになりましたよね。

ですが、成長の早さは人それぞれなわけで。

半年なんて誤差の範囲でしょう、と思いなおすことにしました。


結果、嬉しそうな娘が見れたのでこれはこれでよかったなと思います。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る