2023.3.24 まことに春めかしい
タンポポを拾った。
小さな黄色い太陽が少しだけ汚れて道の真ん中に落ちていた。
きっと誰かが春の香りに誘われてもいで、道の真ん中に捨てたに違いない。
タバコを買いに行く(やめるやめる詐欺をしながら未だやめられていない)道すがら、私はそれを拾った。
拾ったものはなんとなく捨てられない。そんなわけで私はそれを職場へと持ち帰った。休憩室で花瓶を探した。なんだかんだでなんでもある職場だから、きっと一輪挿しもあるだろうと踏んでいたのだが実際そんなものはなくて、私は結局適当にコップには大きすぎる一体何に使うのかわからない緑色の容器を選んだ。
水を張って、どこかでみたようにその中で茎の先っちょを切る。
少し容器が大きすぎる気もするが、立派な一輪挿しが出来た。
花があるのはいいものである。
普段は別に花には全く興味なんてないのだけど、それでも花があると妙に気分が良くなる。
そういえば桜も咲いた。満開だ。お花見なんてものには行く気はないけど、たまには上を向いて歩くのも悪くない。
そんなことを思いながら休憩を終えた。
少し浮かれたような気分で上機嫌に仕事をしていたらポツポツと窓が鳴った。雨だ。
雨はだんだんと強まってやがてザアザア降りになる。
雨は嫌いじゃない。だって、嫌な気分も全て流してくれるような気がするから。
でも浮き浮きとした気分まで全て流し去っていくのは如何なものか。
結局憂鬱な気持ちで一日を終えてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます