おれは雰囲気で歌をうたっている

 オナニー回が割と読まれている。ありがとうございます。みんなやっぱり性欲の話読むの好きなのでは?

 とはいえ毎日セックス寄りのコンテンツにするわけにもいかないので普通に今日の話をしていく。


 今日は歌のレッスンに行った。

 歌のレッスン。なんだか恥ずかしさのある言葉だ。歌のレッスンて。レッスンするようなご身分か? お? とわたしの中の輩が煽ってくる。

 実は2年近く前から通っている。別に目的はない。

 昔から歌うのが好きなのだが、歌がどうもうまくないのがコンプレックスだった。よく考えてみればもういい大人だし収入あるし、いっちょボーカルトレーニングにでも通ってみるか、と思い立ったのだ。ただの習い事である。


 もともと「うまくない」というのがスタート地点なので、別に歌手になってやろうだとかミュージカルのオーディションを受けたいだとかそういうことではない。めちゃくちゃ予防線を張ってしまうのはやはり「歌ヘタなくせに歌のレッスンとかw」という嘲笑を想定してしまっているのだろう。いや、誰もそんなことを言わないのはわかっている。わたしの周りは優しい人が多いので……。これも自意識のアレだが、こういうのはみんなきっとありますよね?


 まあ「うまくない」という前提ではあるのだが、同時に「そこそこうまい」という自認もある。急に180度の掌返しだ。要は、めちゃくちゃ音痴だったりはしない、ということだ。別に大きく音を外すこともないし、リズムもずれるわけじゃない、数値的に見れば「ある程度ちゃんと歌えている」のに、「聞くと別にうまい感じは全然しない」。これが嫌で習うことにしたのだった。


 月2回のマンツーマンレッスンで月謝は1万円。レッスンだけでなく、コンサートやらコンテストやらも行われていて、先生から「出ませんか?」と頻繁に誘われる。出場するのにも費用がかかるので、そういったところで収益を出しているのだろう。最初は参加するつもりはなかったのだが、いかんせんマンツーのレッスンだけでは効果を実感しにくい。ということでコンテスト系の企画には過去2回参加した。

 課題曲ごとにグランプリが決まり、1位にはレコーディング体験などの特典が与えられる。1回めは7位(応募総数が何人なのかは不明)、2回めは1位だった。

 ちゃっかり1位を取っている。なんだこいつ。なんか未だに自分の歌との距離感がわからない。小説は自分では最高に面白いと思っている(という割り切りができている)が、歌に関してはけなされても嫌だし褒められても困惑する。うまいんだかうまくないんだか本当によくわからない。


 まあでもせっかく1位を取れたので、次のコンテストでもいい成績を残したい。それで今日は課題曲の練習をした。

 ちなみに過去2回はどちらもAdoの曲だった。キーが合ってるらしく歌いやすいので選んだだけなのだが、今回もAdoにしてしまうとあたかも熱烈なファンみたいになってしまうので(実際は課題曲以外ほとんど聞いていない)タイプの違う曲にした。

 コンテストでは音程が取れているかどうかが重視されるらしく、今日は45分みっちり音取りをやったのだが、ちょっと不思議なことがあった。


 そもそもわたしは楽器ができないし、楽譜も読めない。いわゆる「耳コピ」の状態で歌を覚えているのだが、その精度も低い。なんとなくで音階を作ってしまっていることも多々あり、原曲をちゃんと聞くと間違えていることがザラにある。

 そういうところをピアノで音を取って直してもらう。とても助かる。レッスンに通いだしてから自分でもピアノアプリで音を取ることはあるのだが、相対音感しかないので特定までめちゃくちゃ時間がかかってしまう。

 今日直してもらったところの中で、本当はhiB♭(シのフラット)で出すべきところをhiAで出している箇所があった。わたしは音域が広くなく、その辺りで声が裏返りやすい。裏返らないように出しているせいでちょっと低くなっているようだった。

 出ない音ではないので意識すれば正しい音が出せるのだが、同じ音階の1回めはほぼ100%で成功するようになったのに、2回めでは毎回失敗する。

 歌詞の母音と子音の構成も似ているし、なぜ2回めだけ失敗するのか。先生と色々考えた結果、1回めと2回めで伴奏のコードが違うということがわかった。どちらもhiB♭の音自体は含まれているのだが、2回めの方が印象が暗い。どうもそれに引っ張られているらしい。コード進行を変えたら普通に歌えた。


 本番用の音源だとやっぱりつられてフラットするのでそこは練習しなければならないのだが、本当におれは雰囲気で歌をうたってんだな……と実感した。コードとか何もわからないのに耳で聞いた印象にめちゃくちゃ影響されている。

 でもこれで、アカペラで歌える曲に伴奏がつくと歌えなくなるという以前からあった現象の原因の一端がわかったのですこしスッキリした。

 実践ばかりで理論はやっていないので、未だに音楽のことは何もわからないが、こういうことが少しずつ実感としてわかってくるのは楽しい。別に目的はないのだし、気楽に続けながらちょっとずつ学んでいきたいしコンテストではあわよくば1位を取りたい。あとコンサート系の企画も今度出てみようと思うのでそれも楽しみにしている。

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