第35話出会いの向こう側
疲れ切って駅のベンチに座り込んでしまった。土曜日の休日出勤は本当に疲れる。遠くで酔っ払った若者たちのはしゃぐ声が聞こえてきたが、私にはその元気さがうらやましく感じられるばかりだった。
休日出勤が終わって、やっとのことで帰れるというのに、体に力が入らず、駅のベンチに座り込んでしまった。
「どうしてこんなに疲れちゃったんだろう…」つぶやきながら、私は無意識にポケットからスマートフォンを取り出し、友達に連絡を入れた。
「ちょっと、今疲れすぎて動けないんだけど…どうしたらいい?」
友達からの返事は、ちょっとしたアドバイスが書かれていた。
「まずは、深呼吸してリラックス。それから、飲み物でも買って水分補給をするといいよ。」
そういえば、今日はあまり水分も取っていなかった。友達のアドバイスに従って、近くの自動販売機で水分補給をし、少しずつ力が戻ってきた。駅のベンチで少し休んだ後、改札を通り、電車に乗り込んだ。
電車に揺られるうちに、私は向かいに座っている女性に目を奪われた。
彼女は綺麗な髪に淡い色の瞳で、落ち着いた雰囲気が魅力的だった。疲れた私の心に、彼女の姿はなぜか癒しを与えてくれた。
しばらく彼女を見ていると、彼女がこちらに気づいたのか、私に微笑みかけた。恥ずかしさで顔を伏せたが、彼女は優しく声をかけてきた。
「大丈夫ですか?疲れているように見えますけど。」
彼女の声は穏やかで、まるで天使のようだった。思わず、友達とのやりとりを打ち明けてしまった。
「実は、休日出勤で疲れ果てていて…」
彼女は共感してくれて、自分も仕事で疲れることがあると話してくれた。
彼女との会話が楽しく、気づけば目的地の駅に到着していた。
駅で別れるのが惜しく感じた。そんな気持ちを察してか、彼女は
「今度、一緒にコーヒーでも飲みませんか?」
といった。
喜んで承諾し、連絡先を交換した。そして、私は電車を降りた。
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