第22話真那と瑛子、心配性の私とエナジードリンク好きな彼女
私は小さなコンビニエンスストアで働いている。ある日、気づくと毎日同じ時間にやってくる女性客がいた。彼女は明るい色の瞳と、黒髪のショートカットが特徴的で、いつも笑顔を絶やさない。毎日決まってエナジードリンクを購入し、その後に笑顔で店を去っていく。彼女の姿が少しずつ気になるようになった。
私は、エナジードリンクを毎日摂取する彼女を見て心配になった。エナジードリンクの過剰摂取が健康に悪影響を与えることを知っているため、彼女の健康を案じていた。ある日、勇気を振り絞って彼女に声をかけることに決めた。
「あの、毎日エナジードリンクを飲むのって大丈夫ですか?」と少し緊張しながら言葉をかけた。店内には彼女と私しかいなかった。
彼女は驚いた様子で私を見つめ、瞬間的に顔が赤らんだ。その表情は、まるで私が彼女の知られたくない秘密を知ってしまったかのようだった。しかし、彼女は笑顔で答えてくれた。
「ありがとう、心配してくれるなんて嬉しいよ。ちょっと仕事が忙しくて、エナジードリンクに頼っちゃってるんだよね」と、彼女は打ち明けてくれた。
彼女は社員証を見せながら笑った。
そこには誰でも知っている広告代理店の名前があった。
「それはお疲れ様です。瑛子さん」
つい社員証に載っている名前を呼んでしまい気まずさにそのまま自己紹介をすることにした。
「私は真那です。学生です。ここでアルバイトをしています。栄養について学んでいるのでつい声をかけてしまいました」
瑛子さんは私の言葉に微笑んで、言った。「真那さん、ありがとう。こんなに心配してくれる人、なかなかいないよ。」
それ以降、瑛子さんは毎日私に話しかけてくれるようになり、休憩時間にコンビニに立ち寄ることも増えた。私たちはお互いの趣味や好みについて語り合い、徐々に心を開いていった。エナジードリンクを買う頻度も毎日ではなくなっていた。
だんだんと瑛子さんに対する気持ちが恋心であることに気づく。しかし、私はその想いを秘密にし、悩みながらも瑛子さんとの関係を大切にしていた。
ある晩、私がいつものようにコンビニの外で休憩中に、瑛子さんが現れたが疲れた様子で今にも倒れそうな様子だった。私はたまらず彼女の身体を支えた。
「瑛子さん、大丈夫ですか?無理しないでください。」
彼女は私を見上げて、「ありがとう、真那さん。でも、今の私には真那さんが必要なんだ」と、瞳に涙を浮かべて言った。私は驚き、同時に瑛子さんの言葉に胸が締め付けられるような感覚を覚えた。
そこで私は勇気を振り絞って、彼女に自分の気持ちを伝えることに決めた。「瑛子さん、私もずっと瑛子さんのことが気になっていました。あなたの笑顔や優しさに惹かれて、どんどん好きになってしまったんです。でも、自分の気持ちを言葉にできなくて…」
瑛子さんは、私の告白に目を丸くして驚いたが、次の瞬間には嬉しそうに微笑んだ。「真那さん、私も同じ気持ちだよ。私たち、お互いのことが好きなんだね。」
私たちの告白は、夜の街に照らされたコンビニの前で交わされた。初めて瑛子さんと手を繋ぎながら、これからの未来を夢見ることができる喜びに包まれた。それから私たちの関係は新たな一歩を踏み出し、お互いをより深く理解し合い、愛情を育んでいくことになった。エナジードリンクをきっかけに始まった心配が、次第に深い愛情へと変わっていったのだ。
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