第48話 ベルファの危険な誘惑
「ふっふっふっ。大勝利よ! ナリユキもがんばったじゃない! お昼は過ぎちゃったけど、ランチはあたしがおごってあげるわ!」
カジノで大勝ちしたベルファは、上機嫌だった。オレはベルファが遊んでいる間、ずっと両替やら飲食物をベルファへ運ぶ役やらを続けていた……当然オレは全く遊んでいないワケだけど、美味しいランチが食べられるのなら、少しは疲れも取れるってもんだ。そう期待していたんだけども。
ランチ自体は最高だった。高級レストランだったし。
でも、その後が大変だったのだよ。
ベルファが、昼間なのに調子に乗って酒を飲み過ぎてしまったのだ。
「ううう、気持ち悪い~。ナリユキ、おぶってよ~」
酔い過ぎて顔を真っ赤にしているベルファ。目がトロンとしていて結構かわいいんだけど、フラフラしていて立つのもやっとの状態だ……仕方ない。オレは、彼女に背中を向けて座ってやる。
「ほらベルファ。しっかりつかまれ!」
その言葉を言い終わる前に、ベルファが覆い被さって来た。
むぎゅ。
背中に伝わる柔らかい感触。こ、これは……かなり大きいぞ……い、いかん! 今は余計な事を考えるな!
オレはその場で立ち上がり、アジトへ戻る道を歩き始めた。
まさか、この状態でゲロを吐いたりしないだろうな……そうなったら地獄絵図だ。目も当てられない。
幸い、何事も無くオレはベルファをアジトへ運び込んだ。ユリカとエアリスは、出かけていて留守のようだ。オレは、ベルファを背負ったまま、女性陣の部屋に……しめた、鍵が開いている。
オレは、そのまま部屋に入った。ベッドが3つ並んでいる。
「ベルファ。どれがお前のベッドだ?」
「ベッドはいらない。その窓際の壁に座らせて」
オレは言われた通り、ベルファを壁に寄りかからせるようにして座らせた……ふーっ。これで一安心だと思ったのだが。
「ナリユキ。その床に寝なさい。私の方を向きながらよ」
また命令された。逆らうと爆発しそうだから、言う通りにしておこう。ベルファの方を向きながら、ゴロンと横になった。すると。
ばたばたん!
大きな音を立てて、ベルファがオレと向き合うように寝っ転がって来た!
ベルファは、まだ酒が抜けていないのか顔がまだ赤い。瞳も潤んでいる。そして、オレの顔に吐息がかかる。かかか、顔が近い近い近い!
「へえ~。ナリユキ、あんたって意外とカワイイ顔してるのね」
男のオレとしては、女にカワイイと言われてもバカにされているとしか思えない。反論しようとしたのだが。
むぎゅぎゅ。
ベルファが横になりながら、オレを抱きしめてきた!
ベルファの柔らかい胸が、オレの胸に当たってる! オレの理性がトぶ!
「あたしは、ずっと独りぼっちだった……寂しかったのよ……だけど、あんたはあたしの話をマジメに聞いてくれた……嬉しかったわ……だから、一緒にいたい……これからも……」
ベルファは、甘えるような声でそう呟いた。そうか、コイツは今までずっと一人で戦い続けてきたんだな……オレは辛うじて理性を保った。
ベルファは喋り終えると、スース―と寝息を立て始めた。
オレは立ち上がると、ベッドから布団を引っ張り出してベルファの体の上にかけてやった。そして静かに部屋を出る。ふうっ…………。
これからは、もう少しベルファに優しくしようと思ったのだが。
「あんた、昨日はあたしとランチを食べた後、あたしをどうしたの!? 何か変な事をしなかったでしょうね!? もしやったら、殺すわよ!」
翌朝、ベルファに会った途端に怒鳴られた。どうやら酒のせいで全く覚えていないらしい…………ガッカリだよ!
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