v0.2.3 レクチャー
入学して二日目の今日は、朝の短いHRの後、『先進IT指定校』として、ITを使った学校生活についてのあれこれのレクチャーの時間になった。
まずはARグラスを通して教室に大きな仮想スクリーンが登場して、10分くらいの妙にかっこいい紹介映像が流れた。
動画では、先進IT指定校が全国に30校くらいある事、全ての指定校が共通のシステム基盤を持っている事、指定校同士はネットワークで結ばれ、他の学校の授業にバーチャル参加したり、生徒同士が交流したりできる事、色んな企業や大学などの支援と研究によって成り立っている事などが紹介された。
まあ、要するに先進IT指定校のPR動画みたいなものですね。
これを見てテンション上げて行こう! ってことなんだろうけど、どうせネットワークを通じての授業とか交流とかなんて、ARグラスを使いこなせない(使いこなす気のない)自分には縁のない話だろう。
先進的な環境だったら喜ぶ学生ばかりだと思うなよ!
……にしても、全国でたった30しかない学校の一つが自分の通う学校だとか……ほんと一体どんな運のなさだろう。
紹介映像の後は、これまたARグラス経由で表示されたスライドを使って、担任の口から学校内の設備の説明。
まずは校門のゲートのことや、教室入り口にある入退室チェックの仕組み、校内に設置されたカメラの事などが説明された。
そういえば朝のHRで出欠の確認ないんだな、と思ってたのだけど、校門のゲートの通過で学校にいるかは分かるし、教室の入り口でもチェックするなら、そんなものわざわざやる必要もなかったってことなんだな。
さすがは先進IT指定校。貴重なクラスのみんなの名前を覚える機会を奪ってくれてありがとうございますねほんとにね畜生。
カメラのほうは、基本的に生徒の行動を解析して学校の設計に活かすためのもので、生徒の行動を監視する目的ではない、と説明された。が、本当かどうかは結構怪しそうだ。何かトラブルがあれば証拠としてこのカメラの映像は使われるんだろうし、校内に問題が起これば絶対にこういう機器は監視に使われるに違いない。
そのうち「この辺がカメラの死角」とかいった情報が出回ったりするんだろうな……。
あとは学内のコンピュータ室に、かなり高性能なコンピュータが置いてあって、自由に使っていい、という話があった。このコンピュータは、学生ならARグラス経由で外からも自由に使えるらしいのだけど、外からコンピュータを使う、っていう意味がいまいちよくわからない。
うん、まあ、わからなくていいことだ。どうせ俺には関係のない設備だし。
その他地味にしんどそうだったのが、自販機や購買での買い物なんかも全てARグラスで支払うのがデフォ、という事だ。現金が使える場所はこの学校にはない、と言い切られてしまった。
……まあ、世間もだいたいキャッシュレス化してる時代ですしね。俺みたいな行くところ行くところで現金出しては嫌がられる現金派はそろそろ滅亡するべき時なのかもしれないですね。
現金はいいものですよ。使ったなぁっていう感覚が一番よくわかるし。お金を所有する感覚が物理的に味わえるし。
まあ、この話をすると家族にさえも毎度「じいさんか」って年寄り扱いされるわけですが。
それから選択科目の履修登録、宿題の提出、成績の確認、欠席の連絡などいろんな事がARグラス上のシステムでできる事、各自にメールアドレスがある事、学生同士でチャットや電話もできることや、学内SNSの存在など一通りの事が説明された。
うん、正直まったくついていけてないけど、まあ必要になったらどうせ無理にでもやらされるんだろうし、あまり深く考えずに敬して遠ざけておこう。そうしよう。
最後に担任は「台風で学校が休みになる場合とか、学校からの連絡はメールで行くから、定期的にメールはチェックしておいてね」とだけ言って、今日のレクチャーは終了となった。
とりあえずこの学校には自分にはあまり関係のない設備がいっぱいある、っていうことはよく理解できました。大変有意義な時間でした。お疲れ様でした。
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