絶望

 あ〜四ツ村さん最高や

 どうしてあんたはそんなかっこいいんや

 サカモトデイズを読み返していたらそんな感情に支配されてしまった。

 まず、もうあの目よ。希望もへったくれもない淀みきった瞳がやべえんすよ。ほんまもう性癖にぶっ刺せっちまって、俺んこと殺してくれへんかな。頼んますよ、四ツ村さん。と舐めるように四ツ村さんを追っていると、まぁもうね、かっこいいセリフしか吐かないんすよ、四ツ村さん。

 ほんまいけずやわ、四ツ村さん。しかもその隣にいる舞妓はんも四ツ村さんと比肩するほどかっこよくてね。あれよ。抱いてくれ。それがだめならその簪で刺してくれへんかな、と。マジでかっこよくてね。

 赤い着物が欲しかったの。おおきに。なんて返せる姉さんはあんたしかいやへん。いい女過ぎへんか。四ツ村さん、それでもあんさんは一途なんやろって、魚の死体の様な目を見ると確信できてな、あ~い~わ。この感情もうどないせえば良いのか教えてくれへんか、四ツ村さんって感じで読み進めると、愛弟子の神々廻と殺し合ってね。これがまた最高で、神々廻ほんまいい男やわって思っちまうんだけど、若干ハーフボイルドで、お前さんやっぱり情は捨てきれへんのやなって。

 四ツ村さん最高なんや。四ツ村さんが出るだけでサカモトデイズのシリアス度が2、3上がってもう全部かっこいいんよ。

 血がお猪口に入るんやけど、おっと酒が薄くなる、って言いなって、あら作りましょうか、なんて舞妓はんが言ってくれんのやけど、もったいねえ、と飲み干すシークエンスとかね、粋やね、かっこいいね、最高やね、わかるよね、と誰に向かって言ってんのかわからん感想が溢れ出て来ちまって、いやでも舞妓はん。あんたここで亡くなるには惜しい人やったよ。と憐憫の情に浸ったりね。四ツ村さんが出てるシーンは全部名場面になっちまうんだよ。

 四ツ村さんはこのまま報われずに死んでくれへんかな。頼んます、南雲はん。

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