【結末】絵本家族

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まだ5歳だって。

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かわいそうにねぇ。

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優太のお葬式で、そんな声が飛び交う。

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最愛の息子が亡くなったなんて、受け入れられるはずがなかった。

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しばらくの私は、外出はおろか、部屋にこもったままでろくに食事もしなければお風呂にも入らず

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ただぼーっと一点を見つめて、息をするだけの生活を送っていた。

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だがそんなある日、私は気づけばペンを握っていた。

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昔から絵が得意だった私は、ペンを握り、優太と過ごすはずだったこれからの人生を絵本に描いていた。

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生きていれば、小学校の入学式にも行ったはず。

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生きていれば、遠足のために早起きしてお弁当も作ったはず。

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生きていれば、、、

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いや、優太は本当は生きているんじゃないか。

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絵本を描くうちにだんだんとそう思えてきた。

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その事が私の心を安定させていた。

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絵本を描いていると、優太と生きている気がした。

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優太が20歳になるまで、描き続けよう。

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これが私の生きがいとなった。

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優太君のご両親、自殺したらしいわよ。

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---続く---

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