第17話 書けなくて困っている書き手さんへ
執筆って、逼迫とか焦燥とかとは正反対の位置にあるものだとつくづく感じます。ちょっとでも気になることが念頭にあるとろくなアイデアも、こじゃれたトークも生まれません。
ですから、誤解を恐れずに言及しますと、こうしてわたしたちが日々文章を綴れるのは、食うに満ち足りた暇人だからに他ならないと思います。
ただし憧れとは同居している予感があります。明日の命さえ知れないような国の子に、口述させたらとんでもない物語を産みそう。わたしたちがその域に達するのは、職を失わない限りには難しいと思います。
であるならば、安全圏で焦っても文章って生まれやしません。安全圏でできるのは、より安全な場所へ憧れることと、あるいは危険な場所へ身を置く妄想だけ。書いてて悲しいですが、たぶん真理です。
ただ日々の生活にきちんと目を向け、ただしソシャゲやSNSは置いて、紙とペンだけ持って机に座ることさえできたら。
お仕事も学校も不安も懸念もぜんぶ雑音です。これをとっぱらうことで初めて妄想は飛躍できるのではないでしょうか。
それを脳内でカチッとoffにできる人は休み時間でも通勤・通学の時間にでも書けるのでしょうが。私のような不器用さんは、心静かにただ黙って机に座ってください。
それでも心休まりませんから、なにもせずぼうっと部屋の隅でも長時間眺めましょう。いいんです何もしなくても。ただ脱力しましょう。はたから見れば変人の所業ですがなあに、誰も見ていやしません。
……ここで暴露しちゃいましたが。
それで少しでも心拍数が落ち着いたなら、主人公の置かれた状況に想いを馳せて。彼や彼女がどんな足跡でここまでやってきたかを振り返って。そこに新しい状況を用意してやったなら。
文章とは自ずと、あちらから勝手にやってくるものではないでしょうか。
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