詩・ちやほやされなかった頃

水乃 素直

第1話

 卒業を目的としている子どもは、

 愛情と性欲の区別がつけられないまま、

 あなたに花束を送ります。


 機械的な毎日は、始まり続けていきます。

 遠くからサイレンが聞こえる。

 私の心が花びらみたいにひらひら舞って、

 砂に埋もれてしまっても、

 あなたは。私のことを覚えてくれる?


 誰かが生まれた日、何かが終わる日

 歌を歌った日、好きと叫んだ日

 泣いた日、手紙を読んでくれた日

 好きなものが終わった日

 煙突の煙は、春の夕暮れに溶けていった。

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