第3話
そんなこんなで、時間の経過と共に避難してくる人は増え。ゴブリンの襲撃も3度ほどあったが、昼過ぎには一旦落ち着いている。
本日は平日という事もあって、小学校の避難所には、社会人の姿はあまり無かった。その代わり、学生、主婦、老人の姿が多く見えた。
そういえば、今日は編集社の担当が家に来るんだった……。こんな状況なので、相手側がどうなっているか不安ではあるが、至急連絡を取る事にした。
もちろん、携帯電話で連絡を取るのだが……家を出るまでゲームをやっていた影響で充電が切れていた。
「こんな時に限って携帯の充電切れとか……不運だ。」
ぼやいていても仕方ないとで、学校で少し携帯を充電させてもらい、編集社の担当さんと連絡を取った。因みに凄い数の着信が入っていた。
プルル。ガチャ。
ワンコール目で、電話が繋がった。
『冬夜さん、無事ですか?今はどこですか?何度も連絡したのですが、全然繋がらないし、途中から留守電になるし、心配したんですよ!聞いてますか!?』
彼女はいつものおっとりした態度と違って、テンパっているのか、珍しく早口で忙しくしている。
「秋実さん、とりあえず落ち着いて下さい。俺は大丈夫です。今は小学校へ避難してます。携帯の電源が落ちてて、連絡出来ずにすみません。秋美さんは、今どちらですか?」
『私は、冬夜さんの家です。』
「っえ!ウチに居るんですか!」
彼女は出版社で俺の担当さんで滋賀 秋実(しが あきみ)さんだ。
仕事の関係上、俺の家(兼、仕事場)の合鍵を彼女に渡してあるのだ。
『はい。早目に家を出て、そちらへ向かっていたらあちこちで怪物が現れて……。冬夜さんが心配だったので、人の流れを掻き分けて冬夜さんの家まで来てしまいました。そしたら、部屋は荒らされて無いのにあの冬夜さんが行方不明になっていたので、攫われたのではと心配で心配で……。』
「……それは、すみませんでした。実は―――――――――。」
これまでの経緯を秋実さんへ説明した。
『………無事なのは良かったですが。甘いものを我慢出来なくて、数ヶ月振りの外出ですか……。』
少し呆れられたが、
『でも、無事で本当に良かったです。』
「心配してくれてありがとうございます。そこで、これからとりあえず、俺は家に戻ろうと思うのですが……。」
『っえ。私がそちらの避難所へ向かいますよ!』
「………いや、どうも人混みは苦手で…。」
『……そうでしたね、分かりました。では、私は冬夜さん家でお待ちしています。』
「他の仕事は……って、この状況なのでそれどころじゃ無いですね。わかりました。とりあえず、すぐに家に戻ります。」
「はい。待ってます。テレビでは、怪物の出現が一旦落ち着いたと報道されている様ですが、気をつけて来て下さい。』
「分かりました。」
電話を終えると、周りの人達も様々な動きを取っている。
避難所の小学校に留まる人。
家族を心配して家へ向かう人。
別の安全な場所を求める人。
チームを組んで自分達で拠点を探す人。
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