タワーディフェンスゲーム的生活〜〜変異した地球をユニークスキルで引き籠もりたい(願望)〜〜

樽秘

1章 はじまり ※2033年2月頃〜

第1話



 カンカンカンカン!!



 明け方に突然の緊急事態を知らせる鐘が鳴り始めた。ベッドから起きてすぐに着替えて会議室に急いだ。


 会議室には、既に幾人かは集まって状況整理を行なっていた。


『冬夜様、南の正門側―――山の麓側からモンスターの大群が現れました!100や200じゃありません。少なくとも500以上はいると思われます。更に統率が取られているので、上位種の存在が考えられます。』


『さっき通信魔道具で連絡が入ってパラディスもここ以上のモンスターの大群に襲われている様です。少なくとも1,000以上かと。』


配下のアークとジェイドから順々に報告を受けた。



「まずはこの拠点の事を死守する事だけを考えろ!! 後どのくらいで第二防壁にモンスターは到達するんだ?」


『報告だと大体20分くらいかと思います。』とアーク。


『防衛の状況ですが、警備にあたっていた5人が南側の第二防壁の上で待機しているだけです。至急応援の人員を送って第二防壁にてモンスター共を迎え撃つべきです!』とジェイド。


 そこへ続々と拠点の仲間が集まって来る。


「至急、アーク達配下35人は南側の第二防壁上へ移動してモンスターの迎撃に当たってくれ。ジードは配下4人を連れて東側を警戒。キャメルは配下4人を連れて西側を警戒してくれ。戦闘職の皆は、アークの指示に従ってくれ。

 子供達と非戦闘職の皆は、後方支援や各自出来ることをやってくれ!なんとしてもこの拠点を守り抜くぞーー!!」


「「「「『『『『うおおぉぉーー。(はい。)』』』』」」」」


 一斉に各持ち場へ向かって移動して行く。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



こんなの事になる数ヶ月前――――。






「いらっしゃいませ〜〜。」


 コンビニ店員の声が聞こえる。

 俺にとっては、数ヶ月振りに聞くフレーズだ。

 そう、俺は暫く振りに外出したのだ!



 言っておくが、引き篭もりでは無い……インドアなだけだ。


 食事は、ウーバーで自宅配送。その他、食料品・日用品はネットスーパーで注文している。

 この時代、特に新型の感染症が猛威を奮って以降、家を一歩も出なくても生活が出来る。



 俺は、海堂 冬夜(かいどう とうや)25歳。

 もちろん、仕事はちゃんとしている。ライターの仕事である。家に居ながらにして、仕事が出来るのだ。


 ありがたい事に売れっ子でも無い俺に担当者が付いてくれている。そのため、書類の提出は、メールで完了。打合せは、webで済んでしまう。態々、外出して人と会う必要も無い。


 仕事の期限さえ守っていれば、呼び出しを受ける事も無い。良いのか、悪いのか、そんな時代だ。



 そんな俺が、なぜ外出しているかと言うと………どうしても、甘いものが食べたくなったからだ。


 人間だから、どうしても突発的にこういった事は起こる!いつもは、アイスやらゼリーなどを常備しているのだが、今回はタイミングが悪かった。


 昨日、仕事の締め切りに追われて、頭を働かすための糖分補給がいつも以上に必要になった。そのため、アイスやお菓子を食べ切ってしまったのだ。



 そして現在、コンビニでそれらを補充している訳だ。


 カゴを手に取り、お菓子、スイーツ、アイスなどをカゴいっぱいに詰め込み購入する。

 コンビニ店員に一瞬「っえ!」って顔をされたので、ちょっと恥ずかしかった。


 その反面、俺の顔は満点の笑みだ。







 そんなコンビニの帰り道の事。


 周りから、人の叫び声や、自動車事故の様な大きな物音が止む事なく響き渡り始めた…。


「日本なのにテロでも起きたのか?海外の要人が来日なんて報道無かったのに…」


 冗談混じりに独り言を言っていると、今度は人がちらほらと走って来る。


「怪物が出たぞーーー。逃げろー!」

「皆んなとりあえず、緊急避難先の小学校へ逃げろーーーー!!」

「怪物だぁー。ワアァー!」

「携帯で撮影せねば!!」


 などと、人々が変な事を言って騒いでいる。


 「こんな時こそ周りの声に惑わされない様に冷静に………な、なんだアレは!?」


 落ち着こうとしていた俺だったが、遠くの方に小学生くらいの身長の緑色の肌をした人型の何かが数体見えた。


 その何かは、棍棒を持って周りを荒らしていた。車、自販機、建物……更に人間に向かって容赦なく、その鈍器を振り下ろしている。


「な、何だよアレは!?」


 そして、無惨にもその何者かが振り回す鈍器が腰を抜かして動けないでいる中年の男性の頭を捉えた。

映画の撮影でも、大掛かりなマジックでも無いだろう………、その中年の男性は「誰か助けてぇくれーーーー!!うがーぐぅーーー」言葉にならない様な悲鳴を上げた後に周りを真っ赤に染めて動かなくなった。



 余りの状況に少し呆けてしまったが、町中を暴れ回っている何者か達が、コチラを向いて薄気味悪い「グッギギギーーー!」との声を上げた。そして、周りに獲物が居ないと分かるとコチラへ向かって歩って来た……。



ここに居たらダメだと判断して、俺も急いで人波に混じって小学校へ走り出した。




 ◇◆◇◆◇◆◇◆



メインキャラクターのイメージ画像を乗っけました。

興味あれば、御覧ください。


↓【海道 冬夜】イメージ

https://kakuyomu.jp/my/news/16817330660384090676


↓【滋賀 秋実】イメージ

https://kakuyomu.jp/my/news/16817330660384146629

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る