第31話 日曜日の夜は川の字で寝る。
結局、晩御飯は普通に三人で食べた。
真弓さんが料理を僕に猛アピールをすることを除けばだが。
「風呂は流石に入ってこないでくださいね!」
「「ぶう~」」
と、二人とも止めたら頬を膨らませるのが親子らしい。
流石の僕も男だ。
何か間違いが起きないとも判らないというか、真矢ちゃんと水着での時点で結構やばかった。
真弓さんとのお風呂も危なかった。
「間違いを起こして何が悪いんだ?」
っと風呂の中で自問自答。
自分の中で性行為を特別化しすぎている可能性がある。
とはいえ例えば、それで万が一にも出来てしまった場合などは、自分の判断に由来せず勝負を決してしまうことになる。
ならそれは良くない。
二人とも同時に孕ませてしまった場合など、考えるだけでもどうにかなってしまいそうであった。
インモラルとしての快楽に背筋が震えたと同時に、自分の欲の深さにぞっとしてしまった。
「さておき」
バスローブを着てる僕の両手を、片手ずつ、とられている。
先手を打ったのは真弓さんだ。
うう~、っと涙目で僕の左腕にリビングで抱き着いてきたのだ。可愛いし、デカいおっぱいがフヨンフヨンと当たって男のリビドーに良くない。
それに負けじと、右腕に抱き着いてきたのは真矢ちゃんだ。
こちらもそれなりに大きい胸を当ててくる。
背の差もあってそれらの柔らかいモノの当たる場所が違うのが楽しくなってきた。
何を言ってるんだろうね、僕は?
回答をしなければいけない。
「どっちと寝るの?」
迫る真矢ちゃんのその言葉にどうしたものかと思う。
「どっちと寝たいんですか⁈」
真弓さんも負けじと僕ににじり寄ってくる姿は可愛い。
「寝ると言ってもその、性交渉は無しですよ⁈
ただ横になって、寝床を奪い合うだけですからね?!」
とまずは叫んでおく。
「はい♡
もちろんです」
「うん♡
つまり私の処女はロマンテックに破いてくれるってことだよね?」
「真矢ちゃん……?」
真弓さんが真矢ちゃんをジト目で睨みつける。
アドバンテージを最大限利用してくるのはいいとして、そういう物言いはどうかと思うので、
「真矢ちゃん、そういうことは言っちゃダメだからね?」
「はーい♡」
言うと、真矢ちゃんの笑顔が零れる。
「さてこのまましてても仕方ないんで、両方共と寝ないという選択肢は……」
「「無いです!!」」
っと退路を断たれてしまう。
困ったモノだ。
ならば仕方ない、進むしかないなら、一気に進む。
視野が広い方が、世界は広がるのだ。
「二人とも、一緒に寝ましょう」
「「はい?」」
という訳で、二人を連れて真弓さんの部屋へ。
そして二人の手を握ったまま、布団の真ん中へダイブする。
そうすると真弓さんは左へ、真矢ちゃんは右へと布団にポフンと落ちる。
「……ダメかな?」
「ズルいです……」
「ズルだよ……」
二人共からは非難の声を受けるが、嫌だという言葉は出なかった。
「仕方ないじゃないですか、選べないんですから」
「優柔不断~」
っと、真矢ちゃんに弄られるので、仕返しとばかしにディープなキスをする。
舌を吸い尽くすような激しい奴だ。
「きゅ~……」
「はわわわわ」
真っ赤になって倒れ伏す真矢ちゃんの様子を観て、真弓さんは慌てて感想を述べる。
「和樹さん、実はプレイボーイ……?」
「そんなわけ無いですよ。
既にした行為……キスをするのは良いと思いますんで。
真弓さんも、どうぞ、来てください」
「……はい」
真弓さんは自分から僕に舌を絡めてくれる。
流石に慣れている感じで、僕は勝てない。
任せるがままにそして、求められたら舌を入れ返す。
ただやはり真弓さんの方が上手い。こればかりは人生経験である。
「ぷはっ……ご馳走様です、和樹さん」
「――はぁ、はぁ……こちらこそ、ありがとうございます、真弓さん。
二人にキスをするということを受け入れてくれまして」
「仕方ないじゃないですか……!
真矢ちゃんだけ何てズルは許せないんですから!」
真弓さんが反対側を向いて、恥ずかしそうにする姿が可愛い。
とはいえ、これ以上のイベントはない、あとは寝るだけだ。
「……しないんですか?」
「しません」
「私、今のキスでスイッチ入ちゃったんですけど……」
っと、振り返り、僕の胸にポフンと入ってくる真弓さん。
表情を見せてはくれないが、震えている姿は可愛い。
「ダメですか?」
「ダメです、我慢してください。
真矢ちゃんに出来ないことなので」
「うう~……これじゃぁ、まな板の上の鯉です……」
そんな様子の真弓さんの頭をそっと撫でてあげる。
「あっ……」
「これぐらいならおまけでいいでしょう?」
「ありがとうございます……少し、マシになってきました。
私、今、変な事言ってましたね。
忘れて下さい」
顔を赤らめて俯く真弓さんを可愛く感じながら、寝に入ることにした。
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