【完結】ts転生したボク、なぜか女神と思しき奴に彼氏を作れと言われたんだが?
まるべー
生き急げ!インスタートボーイ!!
「今日中に彼氏を作ってください」
「え?」
ボクの名前は
⭐︎⭐︎⭐︎
「なるほど。女神様は生涯一生独身となる人間の前に現れて、その人の婚活を手伝う神様なんですね」
「はい、そういうことです。よくわかってるじゃないですか」
慈愛の笑みを浮かべた女神が言いたいことは、つまりはこういうことらしい。
「ちなみに今日中に彼氏を作らなかったらどうなるんですか?」
「今日中に彼氏を作らなかったら、ですか?そうですね。……端的に言って死にます」
……え?
「え!?死ぬって何ですか!? って、いつの間にかあの女神様消えてる!?」
死について問いたいところだったが、女神様が消えてしまっているのでは仕方ない。
いや、というか、本当にあれは女神様なのか?なんか神々しくてそれっぽそうだったから咄嗟に信じてしまったが、そんなわけがないだろう。
つまりは、変なおばさんの可能性が一番高いわけである。いわば不法侵入者だ。よって、ボクはあいつの言うことを聞く必要は一切ない。
というか、ボクは将来は可愛い女の子捕まえてちゅっちゅでラブラブな生活を送るんだ。野郎とは付き合いたくもない。
「美樹、起きてるの?もう朝ごはん食べないと間に合わないわよ」
「はーい!今行くね。お母さん」
ボクは朝の出来事について考えることをやめ、朝ごはんを食べに向かうのだった。
⭐︎⭐︎⭐︎
「今日変な夢見たんだよね」
「挨拶もなしに夢の話か。で、何の夢見たんだ?昨日はお菓子の家の夢だとか言ってたが」
こいつの名前は
「いや、さあ。なんか夢に女神様らしき人が出てきたんだよ。そしてその人が言うには、今日中に彼氏作らなきゃボク死ぬらしいわ」
「あっそ」
「聴いたわりに興味なさすぎじゃない?」
なんだ「あっそ」って。ボクに興味無いかよ。
「何だ?俺に彼氏にでもなって欲しかったのか?」
「そうでは無いが」
こいつが彼氏になるくらいだったら死んだ方がマシだ。
「幼なじみにそこまで言わなくても良くね?」
「え?嘘!?声に出てた?」
「顔に出てた」
なるほど、声に出てたのなら少しは反省しなければならないだろう。けれど、顔に出ていたのならどうしようもない。
それほど、ボクにとってこいつが彼氏になるのは嫌だったんだろう。
「つまりは、ケンが悪い」
「理不尽すぎない?」
⭐︎⭐︎⭐︎
「よおよお、美樹さんは彼氏を作らなくていいんですか?」
昼休み。ニタニタとした気持ち悪い笑みを浮かべた、いかにも性格の悪そうなイケメンが近づいてきた。佐藤健である。
「夢の話でしょ。そんなの。それよりもボク、今日は友達と食べるから。ケンはぼっち飯を楽しんでおいてください」
ボクはそんな男にテキトーに言葉を紡ぎ、美少女な友達のところへと弁当を持って向かう。美少女、ここ大事。
「あ、美樹ちゃん。一緒にご飯食べよう〜」
「うん!!!!」
女友達のその言葉に返事をして、席に着く。ふと気になってケンの方を見てみると、そこには女の子に囲まれたハーレム状態のケンがいた。うん、後で家ごと燃やしておこう。
⭐︎⭐︎⭐︎
「「「「さようなら」」」」
放課後、授業が終わって放課となったボクたちは、帰路についていた。
「美樹、お前なんか随分とご機嫌だな。なんかあった?」
「ふっふっふっ、分かるかい?ケンくん。ボクがなぜこんなにもご機嫌なのかってことをね」
そう、ボクは今素晴らしくご機嫌である。「いや、分からないから聞いてるんだが?」とかいううざったい顔をしたケンを見ても、ぶん殴りたいと思わないほどには、ご機嫌なのである。
「ああ、昼休みの友達との昼食か?そんなに嬉しかったのか?」
「何でわかった」
さてはこいつ、エスパーか何かか?
「いや、だって。お前、今まで俺と一緒に昼食食べてたから、一緒に食べる友達もいないのかなって思うと、哀れで哀れで……」
「ぶっ飛ばしてもよろしくて?」
友達がいないとはなんとも心外な話である。別にボクにだって友達はいるのだ。ただ、昼食を誘う勇気がなかっただけで。
「あ、俺道こっちだから。じゃあな。死なないように気をつけて帰るんだぞ」
「あ、ばいば〜い」
そんな話をしているうちに、もうボクは家に着いてしまっていたらしい。
それにしても「死なないように」とはなんとも物騒な話である。
……あ、今朝の夢の話か。すっかり忘れていた。まあ、人間が早々死ぬことなんてないし、大丈夫だろう。
「ただいま〜」と言いながら家へと入る。カバンを持ちながら洗面所へ行き、手を洗う。そしてそのままリビングへと入った。
リビングには、赤く生臭い液体が広がっていた。
「え?」
腹から臓物がまろび出ているお母さん。喉と口から大量の血を流してピクリとも動かない妹。そしてーーーー
そして、いつの間にかボクの腹に突き刺さっている一本の包丁。
「………ごぼっ、ぶふっ………」
そのまま滅多刺しにされていくボクの体。抵抗することすらできず、ただただ口から鈍い悲鳴を溢すことしかできなかったボクは、いつの間にか、その意識を深い闇の中へと、落としていった。
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