お泊まり!!
「今日の夜、一緒に寝たいなって思って」
「ぶほぉ!!!!」
私は盛大にむせた。
「げほっ!ごほっ!ご、ごめん。もう一回言ってもらっていい?」
「だから、今夜一緒に寝ようって」
「……そ、それはどういう意味でしょうか?」
「言葉通りの意味だけど?」
咲は不思議そうな顔をしている。まるで当然のことのように。そういえばそうか。寝るってだけであれに繋げちゃう私の方がおかしいのか。
「えっと、どうして急にそういう話になるんだ?」
「だってここ一年一緒に寝てないじゃん。小さい頃はよく一緒に寝たりとかしてたのに」
そう言われてみると、確かにそうだ。だが、昔ならまだしも、今はもう高校生なのだ。
「いや、でもやっぱりダメじゃないか?私たち女同士だし……」
「?女の子同士だから問題ないんじゃないの?それに、今は家族みんな旅行に行ってていないし」
た、確かに。そう言われるとそうなんだが…。
「いや、それでもだな……」
「というわけで今日は泊まります!」
「えぇ……!?」
咲は勝手に決めてしまう。こうなった彼女は久々に見る。でも、こうなった彼女は頑固なので、どうしようもないのだ。
「そうと決まれば早く帰ろう!荷物取ってこないと!」
咲は立ち上がるとそのまま部屋を出て行った。
こうして、咲の突拍子のない思い付きにより、私たちは久しぶりに一緒の布団で眠ることになったのだった。
「はい、電気消すよー」
「お、おう……」
パチンとスイッチを切る音が聞こえ、辺りは暗闇に包まれる。
結局あれから咲は家に帰って、しばらくすると荷物を持ってやってきた。そして現在、咲の部屋で二人並んで横になっているのだが。
(うーん、緊張してきた)
咲の匂いが鼻腔をくすぐる。いつもは気にしないが、今日に限ってはその香りにドキドキしてしまう。
「なんか久々だよね、こういうの」
私の寝ている隣から、咲の声が聞こえる。
「あ、ああ。そうだな……」
「もしかして、あんまり眠れなかったりする?」
「いや、そんなことはないけど……」
本当はめちゃくちゃ興奮して全然寝れないとかそんなことは言えない。まさかあんな夢を見たあとにこんなことになるとは思わなかったから。
「よし、さっさと寝るか。明日も学校なんだし」
「うん、そうだね!じゃあ、おやすみ!」
そう言うと咲は目を閉じた。私もそれに倣い、目を閉じる。……正直、この状態で眠れるか不安だったが、やはり疲れていたようで、気付けば私は眠りに落ちていったのだった。
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