5月23日 パンケーキ、お好み焼き
今日の私はどうもポンコツである。
体調が悪い時のぼんやりとはまた違った風に、頭の中がぱやぱやとしている。集中力だとか感覚だとかが最低レベルにある、と言えば良いだろうか。この文章を吐き出すのにも随分時間がかかっている気がする。
だが今日は、決めていた。
昨日の日記に書いた通り、今日は絶対に甘いものを食べるのだ。できれば話題に出ていたパンケーキ、もしくはクレープを。
そんなわけで外出することが決まっていたので、ついでに病院にも行くことにした。別の病院にかかっていたが、あまりよろしくなかったので初めて行くクリニックである。ウェブで順番待ちの受付ができたので安心していたのだが、人気らしくかなり待った。とはいえ、自宅で待てば良いのでのんびりしていたら、クリニックから電話がかかってきた。おや、と思いつつ出てみると、午前の受付終了時間の五分前であった。近所だし私の前にまだ六人くらいいるからいっかぁ、と完全に油断していた。ポンコツである。私はひたすら平謝りして、午後の受付を取り直したのであった。電話口の方はたいそう優しかった。
さて、これでまた時間ができてしまった。
ぽやんとした頭で検討した結果、クリニック近くのカフェでパンケーキを食べながら診療まで待つ、ということにした。
いつもの倍くらいの時間をかけてもぞもぞと身支度をして、外へ出ると、今の私のようにぽやんとした晴れ。山陰では珍しく青の濃い空に、千切れた白い雲。伸びた髪をハーフアップに結って、のんびりと自転車を漕ぐ。五月らしい爽やかな風が吹く。最近の夏日はいったい何だったのか。
向かった先は、クリームイエローの外壁とアンティーク家具が印象的なカフェである。以前にも来たことのある店だが、パンケーキはまだ食べたことが無かったのだ。良い機会である。
陽のあたる窓際の席で、アイスコーヒーを飲む。この店のアイスコーヒーは特別美味しいわけではないのだが、グラスには氷コーヒーが入っていて、時間が経っても薄まらないのだ。長居するのにぴったりである。
ほどなくしてやってきたプレーンのパンケーキは、フライパンの形がくっきりわかるような形にふんわり広がって、狐色の良い焼き目がついている。バターを溶かしながら塗り広げると、予めかかっているシロップがじゅわりと滲んだ。
一口食べて、美味しいのだが、なんだか不思議な気持ちになった。ホットケーキに近い小麦粉の風味と甘さがあるのだが、それよりももっとふかふかと柔らかい食感。ホットケーキとパンケーキのちょうど間のイメージなのである。なんだか笑えてきてしまうほどにぴったり中間の味わいで、これはこれでユニークである。嫌いじゃない。ホットケーキ欲とパンケーキ欲、どちらもなんとなく満たしてくれる。大変おもしろいパンケーキだった。
クリニックの順番が近づいたのを知らせるメールが来たのでカフェを後にし、今度は無事に窓口での受付を済ませる。
そこからが長かった。ここまでの日記を書き終えてしまってなお、まだ呼ばれない。今日の夕飯はどうしたものか。いや、午前の診療を逃した私が悪いのだが。
大変丁寧な処置もされたのだが、思いの外時間がかかってしまったので、仕事終わりの夫と合流して外で夕飯を食べることにした。
当初行こうとしていたカレー屋が残念ながら定休日だったので、最近オープンしたばかりのお好み焼き屋に行ってみることにする。広島で店長を務めていた店主が開いたとのことで期待である。
なんとなく目についた、『チー坊サワー』も頼んでみる。『チチヤス』という乳製品メーカーは広島県民ならば馴染みのある名前で、ここの『チー坊』という乳酸菌飲料を使っているそうである。私が広島に住んでいた頃には存在しなかった製品である。飲んでみると、カルピスよりもヤクルトよりもヨーグルトに近く、さっぱりとした甘さがあってなかなか美味しい。
それから間もなくお好み焼きも鉄板に到着。スタンダードな肉玉そばである。オタフクのお好みソースの香り。かなりカリッと焼き上げられた中華そばに、ふんわりと玉子。しっかりと蒸されたキャベツは甘く柔らかい。たっぷりのキャベツともやしの下にはもっちりとした生地。
これ。これである。私が求めていたお好み焼きは。これまで行った山陰のお好み焼きも良かったのだが、微妙にこの王道からズレているのだ。特製ソースと鶏モツを使った「
欲を言えばお好み焼きにはカープソースの方が好みだが、もはや些末な問題である。久しぶりに故郷の味を堪能した。
が、私としたことがトッピングにイカ天を入れ忘れてしまった。あの香ばしさと潮の香りがまた良いのに。やはり今日はポンコツである。またリベンジしなくては。
G7でもお好み焼きが振る舞われ、これで広島のお好み焼きこそがスタンダードであると、世界中に知らしめることができたわけである。なお、チー坊サワーはお好み焼きとの相性が良いとはいえない。
さて、今日はこんなにポンコツなのに、『ワイナリーの四季』というボードゲームをやる予定である。大丈夫だろうか。大丈夫じゃない気がする。色々と考えることが多いゲームだと思うので。
主催により配信もされてしまうのだが、ご覧になる方はどうか温かい目で見守ってほしい。
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