　びっくりするくらい体が重い。

　気圧か、気圧なのか。カーテンを閉めたまま、窓の外を見る気力も無い。空腹すら感じない。

　昨日の日記では映画の感想に終始していたが、環境が酷いものだったことも記しておきたい。

　観たい映画がかからない、というのは先月の日記(https://kakuyomu.jp/works/16817330654745085719/episodes/16817330654775950789)に書いた通りだが、そもそも施設がショボいのだ。

　物陰に潜み、殺しの頃合いを計るシーン。そこへ被さる、隣のスクリーンの爆発音。

　爆発音がビート音だったりもするが、まぁとにかく音響設備が酷い。柱だかスピーカーだかが反響でビリビリ鳴ったりもする。こんなことはしょっちゅうである。

　また昨日は時代劇映画ということもあって、私の席より後方には高齢男性が五六人、散らばって座っていた。その内の誰かはわからない、わからないが、予告が始まる前からピピピピピピ……と、時計のアラームのような音がたびたび鳴っていた。これがまた、電池が切れかけているのか高音がかすれていて、それ故に音を出している本人には聞こえていないのかもしれなかった。止めようとガサゴソやる気配が皆無である。そんな電子音が、しんみりと過去を語るシーンや男女の衣が乱れるシーンなどに重なってくるわけである。興醒めも甚だしい。

　こんな映画館でも生き残っているのは、選択肢が無いからである。ここと、二時間ほど離れた一館と、島根県内の映画館は二つきり。文化格差は深刻である。

　つらつら文句を垂れていたら小腹が減ってきた気がする。しかし相変わらず体調はよろしくないので、夫にバーガーキングを買ってきてもらうことにする。松屋もフレッシュネスも無いが、バーガーキングはどうにかあるのだ、島根は。

　期間限定の「チーズメキシカンアボカドワッパー」を頼んでみた。

　ワッパー。バーガーキングがバーガーキングたる象徴のような、大きなハンバーガーである。基本は満月のようにまんまるなバンズに直火焼きの100％ビーフパティと野菜が挟まっていて、今回はそれにチーズとアボカド、新開発のメキシカンフレークなるものが入っているという。タコスをイメージして作られたらしい。

　食べてみた結果、基本のワッパーが美味しいのでそりゃあ美味しいのだが、あまりメキシカンな感じはしなかった。ふかふかのセサミバンズ、炭火の香る肉肉しいビーフパティにフレッシュなレタスとトマト(オニオンは抜いている)、ピクルスの適度な酸味に濃厚な味わいのチェダーチーズ、これだけでかなりの満足感がある。バーガーキングを食べている！という実感が湧く。ただ、アボカドはまったりとクリーミーなのだが、バンズの中で偏りがあった上に一切れはやや熟し不足に感じたし、肝心のメキシカンフレークの存在感がかなり薄かった。コーンフレークに9種類のスパイスを使用して作られた旨辛フレークらしいのだが、サクサクした食感のものは見つけられず、スパイス感はほんのり程度。タコスっぽさは微妙である。

　しかしこれは、テイクアウトにしたせいなのかもしれない。どうしても持ち帰る間に、全体が湿気を含んでふんにゃりしてしまうものである。それでメキシカンフレークの存在感が無くなってしまった可能性はかなりあると思う。今後食べようという方は是非、できたてを召し上がるのをおすすめする。

　多少ふんにゃりしていても、バーガーキングのポテトは実にうまい。本当になんだったんだあの虚無ポテトは。(https://kakuyomu.jp/works/16817330654745085719/episodes/16817330655584560324参照)改めて不思議に思ってしまう存在である。バーガーキングのポテトはきちんと塩気が効いていて、外はこんがり中はほっくり、しっかりと芋の味がする。フライドポテトはこうでなくては。いくらでも摘めてしまうような、中毒性が無くては。

　メキシカンな完成度はさておき、先日の悲しいハンバーガー屋体験を、バーガーキングはしっかりと美味しく塗り替えてくれた。ありがとうバーガーキング。でもこれからはスモーキーBBQワッパーからあまり浮気しないようにしようと思う。