7/13(木)「荷台」

荷台に一山いくらで詰め込まれた獣人奴隷達が、虚ろな目で檻の外を見ている。血色の悪い琥珀の瞳の獣人が、じっと見た。

「旦那、損はさせねえ。ちゃんと儲けさせてやる。だから…妹と一緒に買ってくれ。頼む」

瞳が気に入った。それだけで十分だろう。


これが後の傭兵王と救国の宰相の出会いである。


【おまけ】

「妹は器用良しだ。薬代なんてすぐに元が取れる」

病に伏している妹をここから救い出そうと必死の様だ。

「俺は買わなくても、妹だけでも十分に買いだ。だが…俺も一緒に買ったほうが特だぞ」

「へぇ、どう特なんだい?」

「隷属奴隷からの忠義だ。なぁ、旦那、裏切らず肉の壁になる奴隷は買いだぞ」

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