4/10(月)「花見」

【僕の物語】

「花見しよう」

うるせぇ毎年毎年誘ってくんな

「満開だね、一面の桃色が綺麗だ」

知ってるよ。

だから、もう来るなよ。


贄に捧げられた僕の姿は彼には見えない。

なのに毎年欠かさずに花見に誘う。

「佐倉、またこの季節に来たよ」

桜の季節に囚われた彼に、救済を。

僕を忘れて幸せになってほしい。


【あとがき】

 あ、推敲せずに3分で流しちゃった。

コトバンクで調べたら、「花見」は桜とかけられているそうなので、それを前提に、佐倉(サクラ)という少年が贄に捧げられたからってしてみようかと。

上手く伝わり辛いかも……。

花見は明るいイメージの強い言葉なので、逆にしてみました。


【彼の物語】

「花見しよう」

この季節になると、満開の桜の木ノ下で君を誘う。

桜の樹の下には屍体が埋まっている。なんて救いのある言葉なのだろう。弔う屍があるほうが、まだ君を想って祈ることができる。

佐倉、佐倉。

花が咲き誇り、またこの季節が来たよ。

捧げられた君を想う。

どうかどうか、永久の庭に。


【あとがき】

リベンジ!

今度は彼の視点で。


花見で明るい話はあるから、逆のを書いてみよ!って軽く140字で地獄を産み出していた気がするけど気のせいだ。

ほら、相思相愛。

ただ、隣にいる君の事が感じられないだけで。


【君と僕】

「花見しよう」

老いた体で桜の木にもたれ掛る。

永眠る時には君のとなりで。


風が強く吹き、花吹雪が巻き起こる。

「馬鹿野郎。お前まで贄になる事なかったのに!さくらに囚われやがって」

常世に咲き誇る永遠の庭。

皺一つない手を伸ばす。

「君となら、永久の花見も悪くないよ」

桜吹雪が降り注ぐ




【あとがき】

え、でも最後に悲しいのはちょっと……ってことで私の解釈での救済を。

二個目の彼視点の最後の「永久(とこしえ)の庭」が伝わりづらかったかなと、「僕」が贄に捧げられた場所は、ずっと桜が咲き誇っていて、「彼」は現実社会での桜が咲く時期に会いに来ていました。

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