第29話:ミヒロちゃんの、SSSS級モンスターを片手間で倒しながらお悩み相談コーナー♪


「ぜぇ……ぜぇ……」


「ご、ごめんなさいミユさん。まさか本当にスパイダーちゃんが怖かっただなんて……」


 ミユさん、どうやら本当にスパイダーちゃんが怖かったみたい。途中まで仲良く鬼ごっこをしてると思ってたけど、ミユさん的にはひたすら必死に逃げてただけらしい。気絶する寸前のところで気付けてよかったよ。

 

 酷いことしちゃったな……ミユさんに。せっかく距離を近づけようとしたことが裏目に出ちゃった……これじゃあ仲良くなれないよ!


「お詫びになるかわかんないですけど、私にできることがあればなんでも言ってください!」


「……な、なんでも?」


———

「ん?」

「なんでも?」

「ミヒロ、そんなこと簡単に言っちゃマズイですよ!」

「ホチノミユ、一体何をお願いするんだ!?」

「ミヒロ、俺はお前と会いたいぞ!」

「誰もお前に言ってねぇよwwwww」

「なんでも(力技)」

「ミヒロ頼む! 俺たちにもなんでもすると言ってくれ!」

「濃厚百合展開キボンヌ」

———


「……そ、そう。な、なら……ちょっと愚痴を聞いてくれない?」


「愚痴ですか? あ、もしかしてお悩み相談をすればいいんですかね?」


「ま、まぁそれでもいいわ……。なんかさっきので色々と精神的に疲れて誰かに愚痴を漏らしたい気分だから……ぎゃあああああああああ今度はでかい蜂みたいなモンスターがあああああああああああ!!!」


「えいっ。それで、どんなお悩み相談なんですか?」


「……え、ええ」


———

「ホチノ全然ミヒロのペースについていけてなくて草なんよwwwwww」

「あの「ビックビー」もSSSSレベルだからな。本来ならあんな軽く倒せないし、ミヒロ達より十倍ぐらいでかいし」

「だがミヒロは倒せる」

「みっさん俺らがハエ潰す時みたいなノリでSSSS級倒してんじゃねえかwwwwwwww」

「慣れろホチノ。俺たちにとっては日常だ」

「俺たちの感覚も麻痺しつつあるなこれ」

「これミヒロ、ホチノの相談にも脳筋回答するんじゃね?」

———


「リスナーさんそんなことないです! 私、人の相談に乗るのとっても得意なんですよ。幼馴染ちゃんがSSSSSS級のモンスター倒せない時も、私がコツを教えてあげたら倒せるようになりましたもん!」


「??? い、いや私はそういう相談をするつもりじゃ……」


「だから安心してくださいミユさん! 私、絶対あなたのお役に立ちますから!」


———

「聞きなれないワードが聞こえてきましたねぇwwwwww」

「幼馴染ちゃんも化け物……?」

「うわー、さすがみーちゃん! とっても相談に乗るのが得意なんだね!」

「おいホチノ、ミヒロさんのありがたいアドバイスが聞けないってか???」

「すまん、脳筋じゃないな。もはや理解できない領域だったわ」

「ミヒロのアドバイスを聞けば間違いないなwwwwwwww」

「これでホチノもミヒロ並みの人気獲得間違いなしだね!」

「キラッキラの、屈託のない笑顔でとんでもないこと言ってるの草」

———


「そ、そう……。い、いや私、さっきの戦闘で分かったと思うけど、神獣商会とは思えないぐらい弱かったでしょ?」


「はい、すごく弱かったです」


「は、はっきりいうじゃんあんた!!! い、いやその通りではあるけど……」


「でも、神獣商会ってすっごく強い人たちの集まりじゃないですか。どうしてミユさんは強くないんですか?」


「…………バイトだから」


「え?」


「私、配信のために雇われたバイトだから戦闘能力なんて皆無なの!!! 今までの配信も戦闘は全部正社員のごっつい男たちがやってくれてたの!」


———

「えー、やらせ告発です」

「いや分かってたけどなwwwwwwww」

「ふーん、知らんかった」

「一応ミヒロが出るまでは清楚(笑)枠だったもんな……やらせ臭すごくて人気なかったけど」

「幻滅しました、神獣商会の株売ります」

「ミヒロもやらせ……はないか」

「ミヒロはカメラの目の前でモンスターぶっ飛ばしてるからな」

「あ、また一体やられた」

「もはやモンスター討伐はおまけなんよwwwww」

———


 そうなんだ、ミユさんバイトだったんだ。私もバイトだからちょっと親近感湧いてきちゃった。でも、嘘をつくのは良くないよ。それはリスナーさんへの裏切り行為だもん!


「ミユさん、嘘はダメです。それはたくさんの人を傷つけちゃいます」


「……人気者になりたかったんだから仕方ないでしょ。今だって、あんたの配信乱入して数字稼ごうとしてるんだから。助けてもらって、酷い目にもあわされて、色々精神的にぐっちゃぐちゃになったけど……」


 そっか、人気者になりたかったから……リスナーさんに嘘をついたり、私の配信にも来ちゃったんだ。でも気持ちはすっごいわかる。私も同じような理由で故郷を飛び出して配信者になったもん。


「私、このまま数字取れなかったらクビになるんだよね。はぁ……田舎に帰ることになるのかなぁ」


「そんなことさせません! えいっ、私がこの配信でミユさんのいいところをたくさん発見して、おりゃっ、ミユさんがたくさんの人に見てもらえるようお手伝いします! そりゃっ、だからまだ諦めるには早いです、一緒に頑張りましょう!」


———

「いいこと言ってんだよなぁ……モンスター倒しながらだけど」

「SSSS級が次々と倒されていくのにスッゲー軽い気がするのはなぜだろう」

「ミヒロが相手だからさwwwww」

「こいつ性格いいよな、あまりに強すぎてるけど」

「おいミヒロ、俺たちの相談にも乗ってくれ! ちな俺は彼女なし独身ニートの弱者男性だ!」

「お前は救えないよ……」

「これリズムゲーかな?」

「ホチノ、ミヒロがそう言ってくれてんだ。お前も少しは頑張れ!」

———


「……ぷっ。あんた、本当にイかれてる。バーカ、あんたにそんなこと言われなくたって、私はハナからあんたを利用してやるつもりだって……ぎゃあああああああああああ今度はでかいサソリが出てきたああああああいやあああああああああ!!!」


「うんしょ! えへへ、なら良かったです。一緒に頑張りましょうね、ミユさん♪」


———

「案外いいコンビなのでは?」

「ホチノ、お前叫んでばっかりだなwwwwwwww」

「新たなカップリング候補増えて幸せ」

「おい見たか、ミヒロが通った道にSSSS級の死骸が転がりまくってるぞ……」

「このお悩み相談物騒すぎるwwwwwww」

「切り抜きの背景はお花畑にして、モンスターは写らないようにしよう。そうしたらミヒロが清楚系に見える」

「それはミヒロじゃない」

「やっぱミヒロは平然とモンスター倒してけろっとしてるのがいいんだよ!」

「ホチノ、お前は下手にぶりっ子しないで素でいた方がおもろい」

「悲報:田中とカズサ、ぽっと出のやつにミヒロを奪われた模様」

———

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