【超逸材】清楚路線を目指していた新人女性ダンジョン配信者さん、自身の溢れ出る戦闘能力が隠しきれず、踏破不可能と言われた難関ダンジョンを次々と攻略していってしまう
第23話:月額5万円のぼったくりFA●BOXを始めるか、怪しい企業案件を受けるか、選ぶのです!
第23話:月額5万円のぼったくりFA●BOXを始めるか、怪しい企業案件を受けるか、選ぶのです!
前回の掲示板から少し前……。
「ミヒロちゃん、今さっきFA●BOX開始したから早速配信で宣伝してくれないかな!」
あの最高なダンジョン配信から翌日。なんとか皆さんお腹の調子が良くなって元気になっていたけど、宝物を持って帰れなくてひどく絶望していた田中さんは、何か希望を見出したのか目をキラッキラと輝かせながら私にそう言ってきた。
あれ、それってカモライブの中の人……おっと、声が似ている人がやってるやつだよね。私、お金が払えなくてどんなことしてるのか知らないんだよなぁ。
「それはいいんですけど、私は何をすればいいんですか?」
「あー、一言日記みたいに何かテキトーに書いてくれればいいよ」
「そうなんですね! じゃあ早速配信を始めて宣伝します!」
「ちょっと待ってミヒロちゃん! 田中、お前それ月額いくらにするつもりだ?」
「え? 月額5万円に決まってんじゃん」
「ぼったくりじゃないか!!!」
5万円!? 一言日記みたいなものに5万円!? そ、それはカズサさんの言う通り高すぎないかな……私だったら払えないよ。それに、せっかく5万円払ってみたものがそれだったら、がっかりしちゃう。
そんな酷いことする人、いるのかな……?
「仕方ないじゃん! だってまだ収益化申請通ってないし、スマホとかに費やした借金は全然返済できないし、ヤケクソでさっきパチ打ってきたら金保留外れるし……これは必要なビジネスなんだよ!」
「借金あるのにパチンコ打つ馬鹿に必要なビジネスを語る資格はない!!! ミヒロちゃん、言うこと聞かなくていいよ。こんなことしたらリスナーから信頼を失うだけだし」
「い、いやミヒロちゃん。そんな綺麗事を聞いちゃダメ。これから私たちの活動を広げていくためには、お金が必要なの。EXダンジョンの中には県外まで行く必要があるところもあるし」
きっと田中さんの本音は配信で稼いだお金でブランド物をたくさん買いたいんだろうし、借金を早く返済したいんだろう。世間知らずな私でも、それぐらいの本心は見抜ける。
でも、田中さんの言う通りこれから配信活動をより積極的に進めていくのはある程度のお金も必要で……。早く収益化が通れば全然問題はないんだけど、いつになるか私にはわからないし……。
「……や、やっぱりしたほうがいいんですかね?」
「おお、ミヒロちゃんならわかってくれると思ってたよ〜。よし、早速テキトーに、あ、ほんとにさらっと一言でいいからね」
「田中、お前本当にいつか痛い目を見るぞ」
「うるさい、もうすでに痛い目見てるんだからこれ以上酷くなりようがない!!! ……ん?」
「ど、どうしたんですか田中さん?」
「いや、なんかメールに企業案件が来たっぽくて……ええ!?」
田中さんがスマホの画面を見て、声を出して驚いていた。どうしたんだろう、何かすごい企業から依頼が来たのかな!? そしたらこんな酷いことしないで済むかも!
「どこから来たんだ田中?」
「……「テクノロジア」」
「え!? あ、あの三大企業の!?」
「す、すごいじゃないですか!!! きっと報酬とかもすごいもらえるんですよね、そしたらリスナーさんも傷つけないで済みますよ!」
「う、うーん……こ、これは……」
あれ、田中さんのことだから「ガーッはははは! これでお金をわんさか稼げるぜえええええ!!!」みたいなハイテンションになるかと思ったのに。
テクノロジアの報酬がそんなに良くないのかな? それとも何か案件自体に問題があるのかな……?
「な、なんかね。この案件報酬はめっちゃいいんだけど……「弊社で製作した極秘のマシーンと薬を各々飲んでEXダンジョンに挑んでいただきたい」って書いてあるんだよね……」
「……え、なにそれ」
「ご、極秘のマシーンと薬……ですか?」
私もそんなに詳しいわけではないんだけど、テクノロジアはダンジョン探索をより快適にするために色んな物を開発してるみたい。
実際、私が使っているスマホもすっごく性能がいいから技術力に間違いはないんだろうけど……。
ご、極秘のマシーンと薬って……なに?
「でも田中、見直したぞそんな見るからに怪しい案件を即決しなくて。お前なら金に目が眩んで二つ返事で答えそうだし」
「そりゃなぜか私も実験対象みたいだもん。勘弁してよ、絶対いや」
「あ……お前自分が犠牲になるのは嫌なんだな……」
「しっかしどうするかねぇこれ。怪しすぎるけどテクノロジアからの案件だしなぁ……いや、やっぱここは安定をとって月額5万のFA●BOXにしよう!」
「……わ、私その案件気になります。そっちがいいです!」
「み、ミヒロちゃん!?」
「だ、だってリスナーさんからそんな汚いやり方でお金をもらうなんて……や、やっぱりしたくないです。そんなことする配信者さんは最低だと思います!!!」
「うわぁ!?」
「おお、田中がミヒロちゃんのオーラに押されてる」
「だ、だったら少し怖いですけど、その案件を受けた方がマシです! とりあえず、テクノロジアの人の話だけ聞いてみましょう!」
「うっ……み、ミヒロちゃんにそこまで言われたら断れないじゃん……。わ、わかったよ、とりあえず事務所で話だけ聞こうか」
「はい! 本当に酷いことさせるみたいなら私がしっかりと説得してそれはやめてもらうよう言います!」
「おお、ミヒロちゃんがそれを言うとすごい頼もしいや。で、田中、テクノロジアの人は来てくれるの?」
「ちょっと待って今メール送信したから……はやっ!? メール返信早いとか優秀すぎだろ……え、今日早速来るって」
「ええ!?」
この時、ミヒロたちは知らなかった。この選択が、ミヒロをさらなる高みへと導いてしまうことになろうとは……。
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