第十八夜 愛欲の拷問

 俺は呻くようにまだ犯されている──。

 柔らかいベッドのシーツの感触は感じるが、何故か視界が漆黒に染まっていた。

 眼の辺りの感触からして黒い布地だろうか?

 まるで布地で縛られている感触を感じた。

 腕を動かそうとすると制限があるのか、意思の通りに動かない。

 それに両腕を上に挙げられている感触だ。

 何を──されているんだ──?

 直美様の挑発的な声が聴こえる。


「素敵よ。松下さん。目隠しと拘束プレイの味はいかが?」

「拘束された途端、あなたの獣はいきり勃って、興奮してたわよ──可愛いわねぇ」

「アウッ……アアッ……そ、そんな」

「屋敷の時よりも、もっと色っぽくなって嬉しいわ──あなたを永遠に愛したい!」

「ウウッ! うアッ!」


 過激な攻めを受けて、俺は喘ぐ事しか出来ない。両手の手首から感じるのは、あの鉄の冷たさだ──。

 それに似た物で拘束されているのか。

 これでは逃げる事は出来ない。

 下半身からの快楽は、最早、拷問みたいな苦痛を伴って、俺を苛む。

 何時までもいきり勃っている俺の息子は収まる事を知らないで、女の聖域を暴れる。

 そして、何度も──何度も──搾り取られる。

 一瞬だけ、花びらから離れる感触があったが、直ぐ様、舌で舐められる感覚がきた。

 誰かが分身に熱烈に接吻キスをしているのか──。

 

「松下さん──素敵。こんなに勃って──ハアッ…ハアッ…」

「ゆ、雪菜様──」


 可愛げがある声で解った、雪菜様だ──。

 雪菜様が今、口戯フェラチオをしているのか。熟練の舌が下から上へ、袋もネットリ舐める。

 彼女の息遣いが息子から感じる──。

 今度は口から愛液の味が雪崩れ込む。

 同時に体重の重みを感じた。

 

「舐めて──松下さん。いっぱい舐めて──天国へ連れていって──!」


 この声で誰の体重か解った。

 直美様か──。無理矢理、髪の毛を握られて、俺の口の奉仕を強要する。

 舌でそこを弄り出した。

 ああ──これで何回目だ。

 花びらをこうして舐めて、俺の喉に愛液が流されるのは──?

 直美様の美しい声が喘ぐ。

 そして押し付けて強要する。


「そう、そうよ! もっと舐めて─! あなたの愛の蜜を頂戴!」


 白熱するばかりの拷問は、過熱するばかりで、二人の美しい淫魔達が俺を貪り食う。

 俺は無意識で逃れようとしても、拘束具が痛みを連れて逃さないと知らせる。

 もうダメだ……意識が──意識が──飛ぶ。

 心臓も今にも張り裂けそうなくらいに高鳴り、生命の危機を知らせている。

 俺を永遠の奴隷にしたいなら、もう──止めてくれ。

 頼む。このままでは──死ぬ。


「ああうッ!」


 最後の悲鳴を上げて、俺の意識は暗闇へ堕ちていった──。


 松下を散々弄んで、意識を飛ばした鮎川家の女性達は、少し後悔する。


「ちょっと媚薬を多く注射しすぎたかしら?」

「凄い効き目ですわね。お母様」

「あの──やり過ぎではないでしょうか?」


 亜美の少し抗議の声が聞こえた。

 松下の事を気に入っているなら、扱いを優しくすればいいのにと彼女は想ってしまう。

 黒い布で目隠しをされて、全裸で両腕を拘束されて、彼は意識を失ってベッドに倒れていた。

 身体には彼女らの愛液の痕が濡れて輝いて、流石に下半身は萎んでいる。

 亜美の抗議の声に別段文句を言う事もなく、直美は言った。


「やり過ぎでは無くてよ。これが私達の愛のお印だもの」

「でも、このままでは松下様が──死んでしまいます!」


 亜美が涙を流して懇願する。


「松下様を殺さないでください! こんな男性を殺さないでください──旦那様だって──」

「亜美? あなた、松下さんに抱かれて好きになったのかしら? いい男だから? 気持ちいいから?」

「違います! その前にいい人だからです──」

「松下様は文句一つ、言わないで、ここまでご自身を捧げてくれました! 奥様も、お嬢様も、乱暴過ぎます!」

「あ〜あ。興ざめよ。私は。別の雄犬達をちょっと虐めてスカッとしてくるわ」


 雪菜は興ざめしたと言い捨て、その部屋から立ち去ると、別の部屋にて早速雄犬共を嬲り始めた。

 叫び声が聴こえる──。

 そんな雪菜に直美は呆れたように言う。


「まだ旦那様に犯された事を恨んでいるのね。あれは旦那様のご教育なのに──」


 ベッドにて意識を失う松下に寄り添う直美は、その唇をネットリと奪う。


「本当にいい男──」


 目隠しの黒い布を外すと、黒猫をあやすように気を失う松下の顔を抱いて──頬を撫でる。


「まるで彫刻のように整っていて、頭もそれなりに切れて──ただの書生にしておくなんて──勿体無いわ」

「すぐにも壊してあげたくなる程、繊細なのに、宝物のように傍に置いておきたいもの──」

「奥様──」


 すると直美は亜美に気を利かせて、数時間後にまた迎えに来る事を報せて、地下室の別の部屋にて楽しんでくる事を告げた。


「亜美。暫く、あなたに松下さんの面倒を任せるわ。意識を取り戻すまで傍にいてあげて。私は他の男達と楽しんでくるわ」

「服も用意してあげるのよ? 素っ裸で返すなんて可哀想でしょう?」

「は、はい。御任せください。奥様──ありがとうございます」


 暫くの間、松下は亜美と共に奴隷の地位から遠ざけられ、一人の人間としての時間を与えられた──。

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