うそだとは


片思いはない、とある日祖母が言った

自分が好きな相手は

相手も間違いなく

自分のことが好きなのだと

そんなもんかなあ、とわたしは

首を傾げたけれども

祖母は頑としてそう言った


年賀状って届いたら返さなあかん?

まだ幼い頃 わたしは祖母にそう聞いた

返さなあかん

祖母はまたもや頑として言った

それはおはよう言われて

無視すんのとおんなじやからねと



ほんまかなと

うたがうことはあるけれども

わたしは祖母の白黒はっきり

つける性格が好きだった


そうしてそれらが

仮に嘘だったとしても

かまわなかった

わたしにとっては

祖母がそのように断言してくれることが

いちばんの救いだった

月日が経った今でさえも


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