彼女自身であるもの


身体的な特徴よりも

癖よりも 他より、

秀でているものよりも

より彼女自身であるものを

私は見落としてきたのではないか


そう書かれた文章に出会い、

きっと著者は

見落としこそすれど

気づいていたのだと思った

著者が言う

彼女自身であるものとやらに


理屈はすべてあとからやってくる

人はだれしも自分自身でさえ

立ち入れない領域を持っている

それを魂とするのなら

誰も立ち入ることのできない魂が

ことのはじめにすべてを理解する

頭はその辻褄を合わせようと

懸命に努力するだけ


他者を理解したいと願うその優しさに

彼女の何かしらに胸を打たれた

その心の清らかさに

わたしは心から 感銘を受ける

それは誰も立ち入ることのできない

静かな領域が

震撼するときのこと


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