薄情


 物でも人でも動物でも

 なにかを失うことは悲しいことだ

 けど何かを失うたびわたしはいつも

 考えてしまう

 自分は「失ったこと」自体に悲しんでいるんじゃないだろうか

 ほんとうに大切だったんだろうか

 例えば人から貰ったもの

 長く一緒にいた人

 無くしたらきっと悲しい

 けどそれは所有していたものが減って悲しんでいるだけ

 失ったときこそ本当に大切だったものが分かるといわれているけど

 わたしはあまりそうは思わない

 人はそもそも何かを失うこと自体が嫌いなのだ

 それは愛ではなく

 ただのエゴ

 物をなくしたり人をなくしたりして

 いちいちこんなことを考えるわたしは薄情だ

 でもたぶん わたしはいつまでたっても

 分からないと思う ほんとに相手が大切だったのか

 それとも自分が大切だったのかを


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