炎の生命


 君の生命は炎のようで

 雨脚が強まる午前四時

 ある町角の屋根の下で

 ひとり静かに寝息を立てている

 勢いを落とした青い炎が

 ちいさくちいさく揺れている

 君の生命は炎のようで

 僕らは抱き抱えるたび火傷を負う

 関わると無傷でいられない

 ごうごうと燃え盛る君の命が

 日々オレンジ色の光を放ち

 燃え尽きることのない生命力で

 この町を燦然と照らしている

 僕らの腕に収まる炎は

 時を経て色を落としていき

 やがてただの人になるだろう

 けれど僕らは願わずにいられない

 この世がどれだけ世知辛くとも

 君の炎が黒々とした炭のなかで

 赤々と燃え続けますようにと

 灯火を宿したままで

 大人になりますようにと

 僕らの君よ

 君を愛する全ての人間は

 そう祈っているから

 負けずに燃えろ

 負けずに燃えろ


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