瀬音


 ひとつの人間が紛れていった

 それは私

 冷たい浅瀬に両足を浸して

 渓谷を覆う生命に意識を委ねて

 ごうごうと鳴る瀬音に耳を傾け

 ひとつの人間は消し炭になった

 雑然としたわたしにさよならを告げ

 広がってゆく山の裾野に祈りを捧げ


 

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