きみに


 おまえの死ぬ夢をみたのだと

 きみが泣きながら電話してきたので


 初恋の人の遺影が

 おまえに変わっていたのだと

 きみが泣きながら電話してきたので


 傷はすこし癒えただろうかと夜空を仰ぐ

 結局だれがいなくとも生きていけた僕たちを恨む

 人は最初から最後まで独りきり

 けれど目を閉じると

 たくさんの人と繋がっている気がするよ


 僕を傷つけたきみを恨む

 きみを傷つけた僕を誇る

 97%の死ねと

 2%のごめんなさいと

 1%のありがとうを

 きみに贈るよ

 今まで言わなくて悪かった

 さようなら

 もう二度と僕たち出会いませんように


 今夜初めて祈る きみに届きますように

 さようなら


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る