十三膳目:三月某日(水)普段と変わらない朝食
つやつやとふっくら炊きたての白米に、こんがりと香ばしい皮の焼き色がついた鮭。
付け合せのほうれん草とプチトマトは、深い緑と赤く艷やかな色合いを添えている。
そして、砂糖とほんの少しの塩を入れた甘めの卵焼きとイチョウ切りにした薄ピンクのハムをお皿に飾って完成だ。
高校受験の朝。
それでも、普段と変わらない朝食。
本当は英気を養って貰おうと朝から特別な肉料理でも出そうかと思ったが、やめた。
意外と繊細な我が家の寝ぼすけ坊主は、いつもと違ったことに対して敏感に反応し過ぎるきらいがあるため、余計なことはしない方が良いと判断したためだ。
なので、持たせるお弁当の中身もいつもと同じ。
二段弁当箱の上段にはにんにくと生姜でアクセントをつけた鶏の唐揚げと、朝食と同じ味付けの卵焼き。
その隣に小松菜のポン酢和えとくし切りトマトを配置し、下段にはじゅわっと甘辛い油揚げで包んだいなり寿司を詰める。
模試の時はずっとこのメニューだったため、本番も同じものにすることにした。
普段と変わらず、いつも通りの力をそのまま出せるように。
「――、おはよう! ご飯ですよー!」
今日も元気に、いってらっしゃい。
*我が家の寝ぼすけ坊主、無事に第一志望の桜が咲きました!
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