十二膳目:二月某日(日)休日時の“特殊な”朝食
ピピッ、ピピピッ、ピピピピピッ――――
耳元で、いつものアラーム音が鳴り響く。
スマートフォンに表示された画面を見ると、朝六時。
まだ寝たい。起きたくない。
いや、起きない。
すぐさまスマートフォンに手を伸ばし、二度目のアラーム設定をブチッと切る。
そう。今日は休日。
休日の朝食は連れ合いが作ってくれるため、ゆっくりと寝ていられる貴重な日だ。
『箸休め(その参):我が家の献立クイズ』でも紹介したが、我が家の連れ合いは独身時代には料理経験がほとんどなかったのに、一緒に住むようになってからは積極的に料理作りを担当してくれるようになった。
なので、お言葉に甘えて休日の朝はのんびりタイム。
まあ、連れ合いはたまに土曜日出勤が入るため、完全にのんびり出来るのは日曜日だけなのだが。
今日も、早々に起きてせっせと朝食の準備に取り掛かっている連れ合い。
自分が一度目のアラームで重たいまぶたを開いた時には、既に寝室にはいなかった。
朝から、張り切っているなぁ。
でも…………、う〜ん、どうしよう。
実は、連れ合いが朝食を担当するようになってから、自分の中で『贅沢な悩み』が出てきたのだ。
相手に言おうか、言わざるべきか。非常に悩む問題。
それは、『作ってくれる朝食の量が非常に多い』ということだ。
これまで出された朝食メニューは、山盛りのチャーハンやカレーピラフ。チーズ入りの大きなオムレツは定番だし、生姜焼きや回鍋肉、麻婆豆腐などのガッツリ肉料理まで出てきたことも。さらに、茶碗蒸しが他のメニューに加えて“おまけ”として出されたこともある。
…………いや、これは夕食メニューなのでは???
自分は普段、朝食を食べないと日中に頭が回らなくなるので必ず何かしら食べるようにはしているが、それでもこんなには食べられない。
普通にシンプルに、ご飯とお味噌汁、あとはちょっとしたおかずがあれば十分なのだ。
なのに、連れ合いはこちらの想像を遥かに超える量をどーんと出してくる。
食べ盛りの我が家の寝ぼすけ坊主が、『……朝から多くね?』と小声で呟くぐらい、大量なのだ。
しかし、我が家の連れ合いは恐らくそんな風に思われているとは気づいていない。
それどころか、夕食作りにもどんどんと精を出し、最近では『自家製チャーシューをどれくらい早く作ることができるか』といった、謎の『自家製チャーシューRTA』に嬉々としてチャレンジしている有り様だ。
そんな、料理をこれでもかと楽しんでいる連れ合いに対し、マイナスの感想を述べるのは流石に躊躇ってしまう。
はてさて。どうしたものか。
…………まあ、いいか。また今度考えよう。
とりあえず、今はこの休日のまったりとした時間を楽しむことに専念したい。
朝寝、サイコーー☆
今日もゆっくり、おやすみなさい。
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