第26話 26
26
テレビ収録当日
今日は営業先のショッピングモールでテレビの収録がある。
実はこのショッピングモールで営業するのは初めてだ。
いつも営業しているショッピングモールは名古屋中心より外れている場所で、テレビの話が上がった時に中心街で出来そうなショッピングモールを教えて貰い予約した場所だ。
俺と安藤さんは営業前にリハーサルがあると言う事で9時に営業先のショッピングモールに行き準備を進めた。
準備を終えると以前会ったAD(アシスタントディレクター)の木田さんが訪れた。
「おはようございます」
お互いの挨拶で話し合いが行われた。
「まず初めに出演依頼契約書がありますので、こちらに署名の方をお願いします」
俺達は木田さんから書類を受け取ると二人でそれを読み納得し俺は署名をした。
「ありがとうございます。これで出演は確定です。以前メールでお伝えした通りに収録はお客さんが周りにいる午前11時~11時30分頃を予定しています。お客さんの間に内のリポーターを入れされて頂き、シグナルスキャンさんと少し会話した後占うと言う流れです。リポーターはこの後営業が始まる前にこちらへ来ますので、収録リハーサルと言う事で占いをお願いします。本番でまずい占い結果出るといけないので。あとですね、プロデューサーの
そう言うと木田さんはニッコリと笑って腕時計を確認した後「それでは後5分程でリポーターと撮影スタッフが来ますので少々お待ちください」と言い残して席を外した。
俺も木田さんの後ろ姿を見ながら、以前の製薬会社のイベントではいきなりの占いだったから、事前準備はしっかりしているなと思った。
「なんか収録なのに緊張するね」
俺の言葉に安藤さんは俺の背中を軽くパシッと叩いた。
「いつも通りよ。鈴木君は仮面をしているんだから緊張は顔に出ないから大丈夫よ」
「確かに安藤さんの言う通りだ。頑張るよ。それより前にも言ったけど撮影の時には安藤さんは席を外していてね」
俺は仮面をして身バレは問題ないが、安藤さんは素顔の為俺は安藤さんのテレビ出演は遠慮してもらった。
「ええ、そうさせてもらうわ。私自身も鈴木君と同様に目立ちたがりの性格じゃないから」
そんな事を話していると木田さんと共に撮影スタッフが到着した。
「こちらが今回リポーターをさせて頂くアナウンサーの
「
木田さんがリポーターの
俺ははじめてテレビに出ている女性リポーターを見たのだがとても綺麗だと思った。
そして、俺が挨拶をしてリハーサルが始まった。
リハーサルは特に問題なく進み俺は女性リポーターの
結果は全て青色の健康体だ。
俺は正直珍しいと思った。
人は何かしらの病気を抱えているが
俺は以前から用意していた病気がない人用の特注スタンプ『☆健康☆』を占い結果用紙に押した。
何故スタンプのような風にしたかと言うと、病気がなく健康の人は百人に一人いるかどうかと言う割合しかいないからだ。
なので健康な人にはおめでとうの意味を込めて派手にしたのだ。
俺が結果を
恐らくは何かしらの病気が見つかり、対応する事を想定していたんじゃないかと思った。
すると俺の思った通りに木田さんが近づいて来て「占う人を変更する」と言って来た。
木田さんはスタッフの方を向いて手招きをして新たな人を呼んだ。
「こちらADの
木田さんが呼んだのはテレビスタッフの若い女性だった。
俺は木田さんの言う通りに占いを行った。
結果は『体、
この
症状としては、微熱、のどの痛み、疲労感、筋肉痛等いろいろだ。
原因が特定しにくいらしいが俺は医者じゃないからなんとも言えないが、俺の占いでも症状が近い病気の名前が出て来ているんじゃないかと時々思う。
その代表例がこの
まっ何はともあれ病気名が出て俺は少しホッとした。
その後は占い結果を見せて無事リハーサルは終了し、プロデューサーが来るまでしばし休憩になった。
-
「あっ言い忘れていたけどスマホ用のホームページ仮だけど完成したよ」
休憩に入ると安藤さんが俺に伝えて来た。
俺は直ぐにスマホから安藤さんが作った占いのホームページを開けた。
ホームページはまるで掲示板の様な背景が白で黒い文字だけで構成されたものだったが、安藤さんの努力の結晶だと思い俺は上から下へと確認した。
中身はパソコンのホームページとほぼ同じで、違いはカラフルではないだけだった。
「凄いよ、安藤さん。とてもいい出来だよ。ありがとう」
「そんな事ないよ。まだ白黒だし出来としては30点くらいだよ」
「それでもこれで準備は整ったね」
「そうね、テレビでの宣伝効果はちょっとだけ期待するかも」
ちなみに今回の営業予定もホームページに記載してあるが、『一部中断する場合あり』と記載しテレビの事は伏せてある。
俺達が会話をしているとAD木田さんが呼びに来たので俺達はバックヤードへと移動した。
バックヤードに行くと椅子に座った目つきの少し鋭い40代位の中肉中背の男性が居た。
AD木田さんよりプロデューサーにの
無事顔合わせも終わり俺と安藤さんは通常営業へと戻った。
そして10時になり予定通りに営業をスタートした。
お客さんの入りは中心街のせいか中々好調な滑り出しだ。
俺と安藤さんはいつも通りに来店するお客をさばいていった。
そして予定通りにテレビスタッフがお客さんの流れを止めて撮影がスタートした。
-
女性リポーターの
「みなさんこんにちは。今日の昼前ブラリンコの街角ハンティング・流行りはココカラは、名古屋市の中心にあるショッピングモールよりお伝えします。今日紹介するのは占いです。占いと言うと手相とかカードなんかが有名ですね。ところが今日紹介するのはとても
女性リポーターの
リハーサルで体験して足が震えたが、今は本番俺は
「こちらが占いをしている、シグナルスキャンさんです。こんにちは」
「こんにちは」
「今日は病気を占うと言う事ですがどうして病気を占う事にしたんですか?」
俺にカメラが向いて足が少し震えるが辛抱する。
「みなさんがやっていない事をしようと思い始めました」
「なる程、それで占って貰ったお客さんの反応はいかがですか?」
「人それぞれで納得いく人や驚かれる人さまざまですね」
「そうですか。分かりました。それでは今日は内のスタッフを占って貰おうと思います。シグナルスキャンさんお願いします」
横からADの
俺は右手を彼女に向け声を上げる。
「シグナルスキャン!」
通常バージョンだ。
俺は予定通りに体を占ったが先ほど占っていなかった左手が俺の視界に入った。手首の部分が薄っすらと黄色くなっていたのだ。俺の占いは
「はい、結果が出たようです。それでは結果を見せて下さい」
岡田さんはカメラに向かい結果を向ける。
「ちょっとお疲れな結果が出ていますね。ちなみに私も先ほど占って貰ったのですがジャーン見てください。健康です」
女性リポーターの
「スタジオのみなさんも体験してみるといいですよ。それではショッピングモールより
カメラが引き全体を映すので俺とADの
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