第9話 9


都市伝説ハンターミヤギの動画撮影から一週間後、俺は再度ショッピングモールに来ていた。

そしてその日は動画が影響したのか分からないが、過去最高の5万4千円の売り上げを上げた。

正直何人見たのかも忙しすぎて記憶がない。

これから占い結果を渡す時に別紙に人数と何を占ったのか記入する事にした。

そして俺は自分の能力と今の方法等を再度見直す事にした。


能力を使っての占いは問題ないが人によって病気が分かると言うのは、大変にメリットがあると思う。

簡単に言えばガンの早期発見ならば治る確率そう生存確率が大幅に上がるからだ。

前回の占いで確か黄色のガンの人は数人いたような気がする。

俺はしばし思考し答えをだす。


値上げをしよう。


頭千円、両腕千円、両足千円はあまり需要がないしこの値段でいいと思う。

問題は体だ。


倍は行き過ぎか?いや、ならば中間で行こう。

俺は体3千円と変更し、ポスターの修正とさらなる発展を試行錯誤するのだった。


そして2週間後に俺は一番最初に来たショッピングモールに来ていた。

理由は簡単だ、リベンジをするためにやって来た。

場所代は3万円+消費税で今回で2回目なので、6万円+消費税だ。

そう、今回の目標は7万円と言う訳だ。

俺の中で確信はないが何となく行けるような気がしていた。

俺は気合を入れえ店の準備をして待機していると、隣に前回も一緒だった手相占いのおばさんが用意しだした。

たぶん、この人はここを拠点にずっとやっているんだと俺は思った。

そして運命の10時になり店が開店した。

俺は深呼吸をしてまず一人目の客を待った。


………。


?。


11時になっても一人も客が来ない。

隣の手相の所には既に10時台から客が入っているのにどうして?と思ったが、俺は今回も駄目なのかと少し諦めかけた時にやっと一人目の客がやって来た。

俺はチラリと自分の腕時計に目をやると時刻は11時20分だった。

俺は遅いスタートだがゼロはなんとかまぬがれたと思い占いを行った。

そして、そうこの客から客が途切れる事がないくらい次々と客が俺の占いの店に来たのだ。

俺は12時の昼休憩もしないでどんどん俺は客をさばいていった。

そして落ち着いたのが13時30分頃やっと客が途切れたのだ。

俺はひとまず落ち着こうと机の上に『しばらく席を離れます』の札を置き、バックヤードに行って仮面と服を着替えてフードコートへと足を運んだ。

俺は食事をした後に無造作にポケットに突っ込んだ千円札の束を数え始めた。

そして俺は目標を達成したと小さくガッツポーズした。

それから午後もチラホラと客が来てもうすぐ17時付近になり俺が店の閉店準備をしている時、スーツを着た男性が俺に声を掛けて来た。


「初めまして。私製薬会社に勤めている佐藤と言う物です。少しお時間よろしいですか?」


佐藤と言う男性は名刺を出しながら俺に話しかけて来た。

俺は特に問題ないと思い場所を喫茶店に移して佐藤さんと話をする事にした。


「実は2か月後にショッピングモールでイベントを開こうと思っていまして、そこでシグナルスキャンさんに出演して頂きたいと思い声を掛けさせてもらいました。イベントのメインは当社の新薬の発表なのですが、薬自体は薬局で売られる為あくまでも知ってもらう事が目的のイベントになります。そこで最近ネット内でシグナルスキャンさんの事を見かけまして、上層部に話をした所、当社のイメージ戦略と一致するとの結論を頂きましたのですがどうですか?」


「その、俺は何をすればいいのですか?」


「あっ申し訳ありません、具体的な事を説明していませんでしたね。シグナルスキャンさんには当社で用意した人を二人程占ってもらう事になります」


俺はそれを聞いた瞬間になんとなくやりたい事を理解した。

恐らくは事前に俺が占った事にしておいて、薬を使えば症状が改善されると言うないようなのではないかと思う。

だけど、それは合法なのか?

俺は良くわからないがテレビショッピングでやってるような『あくまでも個人の意見』としてやるのだろうか…。

ここは確認をした方がいいのか…いや、俺のする事はあくまでも占いだから、裏事情はあくまでも知らない方がいいような気がしたので俺はビジネスの確認をする事にした。


「なるほど、いつも通り占うだけなら簡単ですね。それで時間と報酬はどうなりますか?」


「はい、イベントは11時と14時の2回30分程度行う予定で、シグナルスキャンさんには10時から15時位を予定しています。昼食の方も裏のバックヤードで弁当を用意させて頂きます。そして報酬は5万円となります」


5時間拘束で昼飯付きで5万円。

めちゃくちゃ美味しい話じゃないか。

俺は思わず口から笑みがこぼれそうになったが、グッと抑えて返答をした。


「わかりました。依頼を受けます」


「ありがとうございます。それではお手数ですがこの契約書類にお名前とお手持ちの携帯番号の記入をお願いします。印鑑の方は当日持って来て頂ければ結構ですので記入をお願いします」


俺は契約書類の文章を読みながら流石さすが企業、どこぞの動画配信者とは違うなと思いながら読み終え記入した。


「ありがとうございます。私の携帯番号は名刺の裏側にありますので何かご不明な点がありましたら遠慮なく電話を下さい。今日は貴重なお時間をどうもありがとうございました」


佐藤さんは俺に頭を下げると二人分のコーヒーの伝票を持って席を後にした。


その後、俺は残りのコーヒーを飲みながら今後を考えていた。

もしもだが今後こんな依頼が増えるとなると、いつかはヤバイ依頼が舞い込む可能性があるかもしれない。

だけど俺にはそれを見破る目もないし頭脳も足りない。

かと言って俺をサポートする人なんていないし…まあ、なるようにしかならないが一人は寂しいなと思うのだった。

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