第48話 青年、カーバンクルランドの園長に謝罪をする。
「ぷひぃぃぃぃぃぃ」
「ぷふぅぅぅぅぅぅ」
「ぷぴょぉぉぉぉぉ」
「ナナちゃん、ハッちゃん、キューちゃん、お腹いっぱいになってねむくなっちゃったみたい。大きさももとのフレブルサイズにもどりましたー♪」
アシスタントのヒサメ……じゃない雨ちゃんが、カメラに向かって現在の状況を説明する。
すると、なぜか撮影に加わっているオーバーオールの女の子が陽気に笑いながら話に加わった。
「はっはっは。なにせカゴいっぱいの食料、このカーバンクルランドにいる、カーバンクルたち1食分の食料を、すべて食べつくしたんだからねぇ!」
ええ! 倒した樹木やひび割れた地面の修繕費もはらわなくちゃなんないのに、そのうえ食費まで弁償しないとだめなのか……。
「それじゃ、今日の特別配信はここまで!」
俺は、
「「「ばいばいー」」」
俺とヒサメさん、そして赤いオーバーオールの女の子がカメラに向かって笑顔で手をふりながら配信は終了した。
「はあ……めっちゃ疲れた……気が気じゃなかったよ」
「ぷひぃぃぃぃぃぃ」
「ぷふぅぅぅぅぅぅ」
「ぷぴょぉぉぉぉぉ」
「うきゃきゃ!!」
疲れた原因をつくったケルベロスはのんきにいびきをかいて爆睡し、ヒヒイロヒヒは歯をむき出して笑っている。
でもまあ、この子たちには罪は無い。俺は今回の一件をカーバンクルランドの偉い人に謝罪をすべく、オーバーオールの女の子に質問する。
「ねえ」
「ん、なになに?」
「あの、悪いんだけどさ、カーバンクルランドの園長さんのもとに連れてってくれないかな? 今回の件の謝罪をしたいんだけど……」
「謝罪? なんで??」
「だって樹を一本なぎ倒して、地面に亀裂を入れて、ハッちゃんたちのご飯もごちそうになっちゃったし……弁償をしないと……」
「弁償? あっはっは! あたしゃそんなことまったく気にしてないよ!」
「い、いや、君が気にして無くても園長さんが何ていうか……」
「だーかーら、そんなこと気にしなくていいって!!
なぜなら、このカーバンクルランドの園長は、このあたしゃなんだから」
「えええええ!?」
この子が、ウソだろ? どっからどう見ても小学生だぞ??
「あたしゃの名前は
今から15年前、ダンジョンが未知の脅威だった時代に、国から選ばれた10人の探索メンバーのうちのひとりで、今はカーバンクルランドの園長をやっている。
気軽に『カンコちゃん』と呼んでくれたまえ」
と、どっからどう見ても小学生のカンコちゃんは、エヘンと胸をはった。
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