電話。


 学校の休み時間。


 幼馴染が、廊下を見て面倒そうな顔をした。


「どうしたの?」

「ああ、落とし物」


 廊下にぽつんと落ちているスマホ。


「あ、ホントだ。誰のだろ?」


 幼馴染が、スマホを拾う。


「ああ、渡して来る」


 そして、隣のクラスへ持って行くと、迷わず知らない女の子へと手渡した。


「スマホ、落としたよ」

「え?ありがとう」


 不思議に思って聞いてみた。


「友達?」

「いや・・・」


 幼馴染の微妙な顔。次の瞬間、スマホの着信音が教室へと大きく鳴り響いた。


「え? なんで……」


 学校にスマホの持ち込みはOKだが、電源は切っておくのがマナーだ。休み時間とは言え、音を鳴らすのは不味い。先生に取り上げられる。


「電話、早く出て切っちゃえ」

「あ、うん」


 幼馴染の言葉に、女の子が電話を取る。


 そして、サッと顔色が変わった。


 先生が呼ばれて、慌ただしくその子が帰る準備をして学校を出て行った。


 スマホの件はお咎め無しのようだし・・・


「・・・なんだったの? 今の」

「ん? おじいちゃんが早くおいでってさ」

「は?」


 翌日、隣のクラスの誰かのおじいちゃんが亡くなったと聞いた。


 俺の幼馴染は、視える人だ。

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