㊱駄々っ子編

「ぴた」

「なんで幼馴染ちゃんはちょっと独占欲が強いコアラみたいになってるのかしら」

「そういう気分らしいよ」

「秋でござるもんなあ」

「だって人間だもの、みたいに言えば誤魔化せると思うアサシンちゃんの浅はかさ」


~ ~ ~


「授業中だぞ、いい加減離れろ」

「や!」

「行き遅れ三十路先生、無理ですよ」

「無理じゃない!」

「力任せじゃなんともなりませんよ」

「そんなことはない! 私だって結婚できる!」

「いつの間にそっちの話になったんですか」


~ ~ ~


「すや、すや」

「凄いわね、授業中なのに僕くんに抱きつきながら、ついには寝ちゃったわ」

「ほんとに凄いよね」

「ええ」

「幼馴染ちゃんの寝顔を至近距離で見る権利を得られた僕たちは」

「発想がもはや宗教のそれよ、僕くん」


~ ~ ~


「むにゃむにゃ」

「はい、お昼ごはんだよ、あーん」

「くい、くい」

「トイレだね、行こう」

「ん、ん!」

「よしよし、いなくならないから、安心してお眠り」

「赤ちゃんとの非言語コミュニケーション完璧なお母さんみたいだわ」


~ ~ ~


「zzz」

「なんで急に駄々っ子モードになったのかしら」

「犬の換毛期ってあるよね」

「あるわね」

「ああいうのと一緒だよ」

「そんなわけないでしょう!」

「そう?」

「幼馴染ちゃんはどっちかっていうと猫よ!」

「論点そこなんだ」


~ ~ ~


「……おっぱい」

「おっぱいかあ」

「おっぱいでござるかあ」

「な、なんであたしを見るのよ!?」

「僕、男だし」

「某、小さいでござるし?」

「……わかったわよ」

「はーい、ツンデレちゃんの生ヌード鑑賞、S席こちらだよー」

「人の痴態で商売始めないでよ!!」


~ ~ ~


「どうしてあたしがこんなことを」

「とか言いながらしっかり搾乳ごっこしてるツンデレちゃん、優しいでござるな」

「ちう、ちう」

「ぽんぽんいっぱいになった?」

「……ままぁ」

「……もう少し飲む?」

「幼児退行した幼馴染ちゃんを見て母性が目覚めちゃったでござるな」


~ ~ ~


「起きて、幼馴染ちゃん」

「や~!」

「あんまりワガママ言うと、お仕置きするよ」

「珍しく僕くんが厳しいわね」

「……また、私にお注射するのぉ?」

「僕くん、ちょっと行き遅れ三十路先生のところ行きましょうか」

「とっくに逃げたでござるよ」


~ ~ ~


「結局今日一日、幼馴染ちゃんは年少さん状態だったなあ」

「きゃっきゃ、きゃっきゃ♪」

「無邪気だなあ」

「ぶち! ぶち!」

「それは無駄毛だねえ」


~ ~ ~


「夕ご飯を食べたらまた盛大に寝こけてしまった」

「すう、すう」

「まあ、こういう日も悪くないかな」

「……僕くん」

「うん?」

「一緒に、寝ゆ」

「いいけど」

「?」

「演技続けるなら、呼び方戻しちゃ駄目だよ」

「あ……」


~ ~ ~


「なんでこんなことしたの」

「疲れちゃったの」

「切実だなあ」

「……呆れた?」

「まさか」

「良かったぁ」

「ただ同級生の胸をいいように弄んだ根性だけは尊敬できるくらい厚かましいなと思っただけかな」

「ツンデレちゃんには言わないで!」

『起きたあたりからスピーカーで通話状態になってるから遅いわよ!』

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