㉙◯ックスしないと出られない部屋編
~ ~ ~
「閉じ込められちゃったね」
「うん」
「し、仕方ないから、二人で……」
「うん」
「音楽、しようぜ~!」
「サックスしないと出られない部屋」
~ ~ ~
「サックスの正式名称はサクスフォーンなんだぜぃ♪」
「博識だね」
「だから今度からサックスを呼ぶ時は『サクスフォーン』と力強く宣言することにしたの!」
「必殺技みたいだ」
「ベレルフォーン!」
「それはギリシャ神話に出てくる英雄の名前だね」
「似てるのに」
「なんで不服そうな顔をするのか」
~ ~ ~
「サックスの製作者さんはアドルフ・サックスって言うらしいよ!」
「ワンシーン前のことすっかり忘れてる幼馴染ちゃん」
「なんかこう、感慨深いものがあるよね!」
「偉人に対する敬意的な?」
「戦争とか支配とか好きそうな名前だから!」
「それ以上は危ないから口閉じようか」
~ ~ ~
「サーはサイコパスのサー!」
「ッは……」
「クーは屈折でー!」
「スーは救いがない」
「こんな世界に誰がした! 民衆よ、今すぐ立ち上がれ~!」
「アドルフが憑依してるよ、幼馴染ちゃん」
~ ~ ~
「ひっ捕らえろ! ひっ捕らえろ!」
「明言を避けた結果シーンを跨いでわけのわからないことになっている」
「ひっ捕らえろ!」
「おう、激しいね」
「だってこうしておかないと逃げるから」
「逃げないよ」
「ほんと?」
「だって僕の心はとっくに幼馴染ちゃんに捕まってるから」
「にへ♪」
~ ~ ~
「うーん」
「テスト中みたいに難しい顔をしてるね」
「だって全然出られないから」
「それはしょうがないよ」
「どうして?」
「僕たち素人だからまともにサックス吹けないじゃない」
「大正デモクラシー!」
「それを言うなら灯台下暗しだよ」
~ ~ ~
「ちょっと冷えてきたかも」
「もう夜みたいだね」
「室内なのに不思議だね」
「そこ気にしたら怒られるよ」
「ぶるぶる」
「おいで」
「……うん」
~ ~ ~
「やっと開いたでござる!」
「幼馴染ちゃん! 僕くん! 助けに来たわ――ッ!?」
「……ぁ……や……見ない、で……っ」
「ごめん、もうすぐ終わるから、閉めて」
「ツンデレちゃん?」
「……」
「あまりにショックな映像を見た影響で死んでるでござる……」
~ ~ ~
「二人のおかげで助かった~! 久しぶりのシャバの空気は美味しいね~♪」
「やっぱり幼馴染ちゃんに狭い世界は似合わないね」
「……」
「ツンデレちゃん?」
「この間海に行った時、メイトガードの話をしたじゃない」
「あ、うんでござる」
「……あれ、当たってたみたいね」
「ずっともだと思ってた親友が夏休み明けに垢抜けた上に彼氏まで作って別世界に行ってしまって取り残された子みたいな遠い目をしてるでござるなあ」
~ ~ ~
最近軽率に幼馴染ちゃんにそういうことさせちゃってますね……。
いいのか悪いのか。
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