第3話不登校児に会いに行く2
放課後になり校門で待っていると、真城先輩と駒ちゃん先生が一緒に歩いてきた。
「あら?私達より先に居るなんて殊勝な心がけね。犬としての自覚が芽生え始めたのね。いい傾向だわ」
「こら!真城さん、鬼島君にそんな事言っては行けませんよ!気にしないでね鬼島君」
「いつもの事ですので気にしてませんよ」
「それはそうと青鬼くん。貴方に1つ謝罪をしなきゃ行けないの。私の伝達ミスでギリギリになって今日の活動を伝えてしまったわ。ごめんなさいね。この通りよ許して頂戴」
...この通り?謝らずにむしろふんぞり返って腕を組んでいる。謝っている人の態度じゃないな...
「それも気にしてないので大丈夫ですよ。先輩が謝る必要はありませんよ」
「そうよね?私が謝る事なんて無いわよね?むしろ私に謝らせた貴方が私に謝りなさい!」
...これは理不尽すぎる。
「もー!またそんな事言ってー!!生徒会長は素直に謝ることも出来ないの!謝る必要ないからね鬼島君」
「え、えぇ。大丈夫ですよ。いつも通りですので...それで彼女の家は何処にあるんですか?妹の料理を作らなねばならないので早く事を済ませたいのですが」
「?何処も何も。貴方の家の対面よ?そんな事も知らなかったの?呆れて開いた口が塞がらないわ」
「!?ま、待ってください!対面に居たんですか!?その話聞いてないですよ駒ちゃん先生!!」
「あ、あれー?言ったつもりだったんだけど忘れてたみたい...てへ!」
可愛いので許された。
そんな無駄話をしながら歩いていたら気づけばウチの真ん前だった。
見事な赤屋根の一軒家。小さい門と扉まで少し距離がある。カーテンは全部締まり切っており、ホントに人が住んで居るのか分からないぐらい生活感が無い。
「ホントにここに吉澤さんがいるんですか?」
「はい!先生の記憶に誓って!」
「その記憶は先程ボロが出たじゃないですか。でも大丈夫よ。なぜなら私が覚えているのだから。私の記憶の方がいいに決まってるもの。信用していいわ怪物くん」
心配しかないが恐る恐るチャイムを鳴らす。
1回、2回、3回目でようやく応答した。
「誰だ!」
何とも可愛い声だった。萌え声とまでは言わないがどこかのアニメで聞いた事のあるようなそんな風を思わせる声だった。
「こんにちは。あなたの担任の駒ちゃん先生ですよ〜。扉を開けて話をしませんか?今日は生徒会長と奉仕部の1人が来てますよ〜」
ギィと扉が開く。その扉の先に居たのはとても小さな女の子だった。服は恐らくパジャマかな?ピンクのモコモコしたやつでいかにも女子という感じである。身長は150ぐらいだろうか?うちの妹と同じぐらいの身長だ。でも身長は同じなのに胸がものすごくデカい。駒ちゃん先生よりデカイ気がする。にしてもこの子すごい綺麗な髪をしている。金髪ロングで目が隠れているが手入れはしっかりされている。その髪に惹かれるように見ていたら気づいたら門を開け扉の前に立っていた。流石にこのままだと怖がられるので目線を合わせる為に腰を落とす。
「えーっと...妹さんかな?俺...僕は君のお姉さんのクラスメイトの鬼島怪斗と言います。お姉さんさんは今在宅していますか?」
「き、鬼島君!?何言ってるの!!その子が吉澤澄子さんよ!」
「え?」
先生の方に振り返って間抜けな声を出してまた振り向き直そうとしたら左頬に痛みを感じて気づいたら地面に倒れていた。
(何があった?殴られた?いや、これは平手打ちか??)
恐る恐る顔を上げると涙目になりながらビンタした後の構えをしている吉澤さんの姿があった。
「私の嫌いなタイプを教えてやろう!グスッ私の身長をバカにする奴!ゲームが弱い奴!そして私よりも大きい奴だー!!!」
そう言って声を上げ勢い良く扉を閉められる。
とりあえず玄関先で待っている先輩と駒ちゃん先生の所まで戻る。
「貴方さては馬鹿ね?相当な馬鹿とお見受けしたわ。何を初対面なのにひょいひょいと女の子の家に侵入しているの?死にたいの?死にたいのね!待ってなさい今すぐロリコンとして警察に通報するから」
「俺は馬鹿のつもりは無いです!そんなつもり一つも無いです。あと、俺まだ死にたくないので警察にも連絡しないでください!」
「でも貴方彼女の胸も髪も見ていたわね?結局男は胸なのねそうなのね!!」
「何言ってるんですか先輩!先輩も十分に...」
そう言って視線を先輩の胸部に移し視線をそらしながら、
「...成長って人それぞれですよね!」
関東平野が広がっていた。
「貴方今殺すわ!!!」
「た、助けて下さい駒ちゃん先生!」
「今のは鬼島君のデリカシーの無さが原因です!吉澤さんに対しても。真城さんに対しても!なので先生は助けません!」
助けてくれないらしい...今の内に家に電話で遺言を残そうかと葛藤する。
「それにしても困りましたね〜。鬼島君は彼女の切り札なのに初対面で好感度0じゃないですか!鬼島君は私の切り札だったのに!」
「?切り札?何の話です?」
「貴方彼女の会話を何一つ聞いていないの?やはり馬鹿ね。今すぐ死になさい」
「真城さん!そんな事言ってはいけませんよ!それと鬼島君、よく思い出してください。彼女の嫌いなタイプを!」
確か
1身長を馬鹿にする奴
2ゲームが弱い奴
3私より身長が大きい人
だったはず...まさか!
「貴方、ゲーム"だけ"は得意じゃない?」
「だけとは失礼な!人助けも得意です!」
そう。人助けは趣味では無くもはや日常で当たり前の動作である。必然的に趣味がインドアになってしまった。ゲームは齧っているレベルではなくやり始めてら完璧にしたい主義である。この趣味を活かして匿名でゲーム大会に出て何度も優勝している。
「なるほどです。その為に俺が呼ばれたんですね!任せてください!!」
「いや、貴方さっき何やったか覚えてる?彼女の好感度下げただけよ?何任せろとか自信たっぷりに言ってるの?恥ずかしくないの??死になさい」
「恥ずかしいですよ!!いちいち言わないでください!それと隙あらば俺を殺そうとしないでください!」
「私は鬼島君を信じてますから大丈夫ですよ!またチャイム鳴らしますね」
押して今度は直ぐに返事が来る。
「チッ。んだよ!まだ帰ってねーのかよ!!」
「今日は話し合いじゃなくてゲームをしに来たの!」
そう先生が言ったら、ものすごい勢いでドアが開く。
「んだよ!そうなら早く言えよなー!」
え?めっちゃニコニコで出てきたんだけど?ゲームになると性格変わる人いるけどその域を超えてるな。
「さ、上がれよ」
「そ、その前に一ついいですか?もしゲームに勝ったら学校に来てくれませんか?」
「...考えてはやる。絶対に行くとは限らないけどな」
一瞬だが寂しい顔をしていた。
「お、お邪魔します」
そう言って俺と先輩、駒ちゃん先生は吉澤さんの家に上がる。
「私の部屋は2階の階段登って正面の部屋だ。勝手に入ってろ。今ケーキと飲み物出してやっから」
...根はいい子なのだろうか?言葉使いは乱暴だが言葉とは裏腹に行動がめっちゃいい子!
そして我々一行は彼女の部屋に入る。部屋も先程のパジャマ同様で可愛らしいピンクの部屋にベットと枕元にクマやネコのぬいぐるみが置いてある。テレビ画面がものすごくデカい!俺の身長の半分くらいの長さと吉澤さんぐらいの縦の長さ。...いくらしたのだろう?
「ちょっと貴方。女子の部屋をジロジロ見るだなんていやらしいわね。普段何考えてるかうかがえる行動ね。地獄に落ちなさい」
「そうですよ鬼島君!女の子の部屋は見られたくないものがあるかもしれないので注視してはいけませんよ。め!です」
確かに失礼に値するかもしれない。普段妹の部屋に入る時はノックもするし妹しか見ないようにしているがこの部屋は妹の部屋では無く、吉澤さんの部屋なのだ!!
「す、すみません。反省してます」
「わかればいいわ」
そんな会話をしていたら後ろのドアが開いてお盆を持った彼女が入ってくる。服も着替えたらしく全身灰色の長ズボンとパーカーになった。
「やっぱゲームする時の格好は陰キャっぽい服装に限るよねー!」
そう言って部屋の中に入り俺達に飲み物とケーキを出してくれる。
「...」
「さ、遠慮なく飲んで食べてくれ!」
「あのー...き、鬼島君の分は無いのですか?」
「?先生何言ってるんですか?この部屋には私含め3人しかいないじゃないですかー?」
「 」
...流石の俺でも傷つく。先生は横目でチラチラと俺を見て汗が出始めてる。先輩に関しては絶句している。何故?
「あ、あなたは彼が見えてないと言うの!?こんな誰にでも見つかりやすい背丈で1度見たら忘れないような顔で!」
「誰か知らないですけど、初対面で失礼かます奴なんて無視して当然だと思います!」
「...それもそうね。あなたの意見が正しいわ」
「!?」
「!?し、真城さん!?!?」
...死にたくなってきた...先輩まで吉澤さんサイドに着いてしまった。
「き、鬼島君?良かったら先生のケーキあげるわ」
「...あ、ありがとうございます」
天使かな?いや、女神に見えてきた。これは赤が惚れる理由もわかるな。
「ダメですよ先生。彼がした行動なんです。それ相応の罰を与えるべきだと思います。で・す・が!彼があまりにも惨めなので良ければ私のジュースを飲んでくれないかしら?私、今日は飲み物を飲むのを控えている日なの」
「あ、ありがとうごさいます?」
先輩にはそんな日が存在するのか?てか、先輩が初めて俺を優しく扱ってくれてる!...目頭が熱くなってきた。
「...何かしらその視線は。とても不愉快な事を考えている気がしてならないのだけれど」
「いえ、そんな事ないです。ただ、先輩にも優しくするっていう感情があったんですね。俺は安心しました」
「返してくれる?これは吉澤さんが出してくれたものよ。貴方が飲む権利は1ミリたりとも無いわ」
やはりいつもの先輩だった。
「おい!そんなカスほっといて私とゲームしろ!ゲームしに来たんだろ?」
「そ、そうでした。さ、何やりますか?ちなみに花札なら負けませんよ!」
「花札?先生っておばさん臭いですね。今時そんなゲームやってる人いないですよ。」
「お、おばさん!?私まだ28よ!それに花札が上手いのは、おばあちゃん子だっただけだから~!!泣」
そう言って先生が泣きながら隅っこに行ってしまった。
「こ、駒ちゃん先生?大丈夫ですよ!最近は花札のゲームとか出ているので子供から大人まで楽しめるカードゲームですよ!全然おばさん臭くないです!」
「ありがとう...でも今はそっとしといて欲しいかな...花札なんてやっているから婚期が遅れるのかしから?教師って出会いないのよね...」
思ったよりクリティカルヒットらしい。
「ぶはは!w先生おっもしろ!www」
「あなた!先生に向かって失礼でしょ!先生は立派に先生をやっているんです!気にしている事を言わないであげてください!」
先輩、それトドメ刺しただけです。
「う、うわーん!!!もうお家帰るー!!」
「こ、駒ちゃん先生ー!!!!」
先生が泣きながら階段を降りて玄関を開け学校の方向に帰って行った...
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